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[スポーツ文化-A-02]創造的停滞としてのレジリエンス(哲,心,コ)ネガティブ・ケイパビリティの視点からのレジリエンス再概念化の試み

*Katsuro Kitamura1 (1. Nihon Univ.)
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本研究の目的は,スポーツにおけるレジリエンスを,従来の「困難から立ち直る力」や「折れない心」としてではなく,不確実性や停滞,葛藤の中に留まりながら,新たな身体知や実践知を創造していく過程として再概念化することにある。本研究の認識論的枠組みとして,ネガティブ・ケイパビリティの概念に着目し,「答えの出なさに耐える力」がトップアスリートの熟達や指導者の実践知形成にどのように関与しているのかについて,対象者の体験を掘り下げる質的方法論により検討を行った。対象は,陸上競技,柔道,剣道,サッカー,水泳,体操の元日本代表選手および指導者計8名であった。データ収集は,深層的・半構造的・自由回答的インタビューを1対1の対面形式で行い,競技人生における技術崩壊,感覚喪失,指導の迷いなど,「答えが見えなくなった経験」に焦点を当てた。データ分析は,Côté ほか(1933)による質的分析法を用い,意味単位の生成,カテゴリー化,関係構造の検討を行った。分析の結果,対象者は単に困難を克服していたのではなく,「わからなさの保持」「感覚の揺らぎへの没入」「未完成性の受容」「試行錯誤の反復」といった経験を通して,新たな身体感覚や競技理解を形成している点が明らかとなった。特に,競技力向上の転機には,自己やわざの再構成が行われる「停滞期」が一時的に存在する点が示唆された。また,指導者においても,「すぐに答えを与えない」「選手の揺らぎを待つ」といった実践が確認され,そこには,選手の未分化な身体知が生成される期間として停滞を捉え,身体感覚に開かれる能力を引き出す形でコーチングが実践されている点が推察された。本研究により,スポーツにおけるレジリエンスとは,単なる心理的回復力ではなく,不確実性や停滞の中で未分化な身体知を保持しながら,自己とわざを再創造し続ける「創造的停滞」の過程として捉え直す必要性が示唆された。

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