特別講演

「リハビリテーション、口腔管理、栄養管理の一体的取組の推進に求められる作業療法士の役割」
講師

 成田 雄一先生

医療法人 光陽会 関東病院


  

所属・役職
医療法人 光陽会 関東病院 リハビリテーション科 科長
横浜臨床病態栄養リハビリテーション研究会 代表
神奈川摂食嚥下リハビリテーション研究会 横浜南地区 副代表
日本作業療法協会 制度対策部 部員
日本フットケア・足病医学会 リハビリテーション推進委員
 
所属学会等
日本作業療法士協会
神奈川県作業療法士会
日本糖尿病学会
日本糖尿病学会関東甲信越地方会
日本摂食嚥下リハビリテーション学会
日本リハビリテーション栄養学会
日本フットケア・足病医学会

 
主な活動実績
病態栄養学会 シンポジスト
日本栄養治療学会 パネルディスカッション
糖尿病学会 関東甲信越地方会 メディカルスタッフAward受賞
東京YMCA専門学校 特別講師
認定作業療法士研修 講師
新潟県作業療法学会 特別講演
大分県作業療法士会 講師

 
主な著書
作業療法ジャーナル 57巻 8号(増刊号)(三輪書店)
急性期・回復期でおさえておきたい 脳卒中作業療法の心得(メジカルビュー)
理学療法 技術と研究(神奈川県理学療法士会会報)
標準作業療法学 専門分野 OT 第4版 身体機能作業療法学(医学書院)
標準作業療法学 専門分野 OT 第4版 作業療法評価学(医学書院)
要旨

 近年,後期高齢者が急増する2025 年問題があり,作業療法の対象として支援する機会も増加している。高齢者の多くは,身体活動量や身体機能の低下の影響や特に栄養障害を背景としたフレイルやオーラルフレイル,サルコペニアの進行がADLやQOLを低下させるため問題となっている。栄養障害は,複合的な要因からなり,病院で惹起される医原性の低栄養も散見されるが,低栄養の源流は在宅から始まっているため,在宅生活や入院時からの評価・介入の視点が重要となる。さらに,高齢者における認知障害や精神心理的問題等の複合的な病態においては,医学的評価や適切な運動処方と運動療法・薬物療法・食事療法・患者教育・カウンセリングなどをセットにした包括的リハビリテーションが重要である.特に理学療法士(Physical Therapist:PT)や言語聴覚士(Speech-Language-Hearing Therapist:ST)による介入に加えて,作業療法士(Occupational Therapist:OT)による『生き方に対して行動変容を促す支援』の視点を持って協働することで支援の相乗効果が得られると考える。

 診療報酬改定においても、リハビリテーション、口腔管理、栄養管理の一体的取組の推進が求められており、各病院や施設で「作業療法士がどの様に参画すること出来るのか」が考慮すべき課題となっている。近年,リハビリテーションにおいて栄養管理の重要性が浸透してきており,栄養サポートチーム(nutrition support team;NST)へのリハビリテーションスタッフの参加機会も増加している。また,リハビリテーション栄養という概念も介入報告やエビデス構築に向けた活動が認識されてきている。本講演では,NSTによる栄養管理やリハビリテーション栄養支援を通じて見えてくるOTの役割や活用方法について著者の取り組み事例を交えつつ,その重要性について述べる。

 今後は栄養管理を医療施設での工夫だけでなく,地域医療に推進させるためにも医療と介護の連携した体系の構築やリハ栄養ケアプロセス介入の視点で積極的に参画していく必要がある。またOTにおける最大の役割や専門性は,対象者の人生において重要な〈生きがいや自己実現〉を『心の栄養』の視点で捉えて『行動変容=生き方』を支援することであり,多職種から必要な存在として認識される様にならなければならない。

 この分野は実践者が少ない現状にあるが,積極的に参画していける環境作りを行っていただくと共に各施設・分野で求められるOTの専門性を活かしてチーム医療に欠かせない役割を見出せる様な活動を期待したい。
 

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