第36回福島県作業療法学会

特別講演

公衆衛生とリハビリテーション

~災害保健の疫学研究から考える地域リハビリテーション~

講師

高梨 信之先生

岩手医科大学衛生学公衆衛生学講座

岩手県作業療法士会 副会長 (学術教育局長)


  

所属・社会活動
岩手医科大学衛生学公衆衛生学講座 助教
なないろのとびら診療所 作業療法士(非常勤)
岩手県作業療法士会 副会長(学術教育局長)
日本作業療法士協会 会員福利厚生委員会 副委員長、地域社会振興部員
公衆衛生リハビリテーション研究会 代表
岩手リハビリテーション学院 講師(非常勤、公衆衛生学担当)
盛岡市スポーツ少年団野球連盟 理事
盛岡地区保護司会 理事 広報部長
研究活動
岩手県北地域コホート研究(事務局)
次世代多目的コホート研究(地域事務局)
RIAS Study -東日本大震災の被災者の支援を目的とした大規模コホート研究-
要旨

 私は作業療法士として1998年4月~2005年3月までのOT養成校新卒からの7年間、医療法人辰星会 枡記念病院(二本松市)に勤務しました。社会人として作業療法士としての人生を福島でスタートし、現在は生まれ故郷である岩手で日々活動しています。福島は私にとって第二の故郷であり、出会った多くの人や育てていただいた思い出は、今も私自身の基盤となっています。

 私は現在、主に公衆衛生学の領域で、研究、教育、臨床、社会活動に携わっています。東日本大震災を機に、被災者の健康課題に関する研究を進めており、発災から15年が経とうとする現在でも、岩手県沿岸被災地の住民の皆さんの健康づくりをサポートする活動をしています。

 ご承知の通り、東日本大震災では、福島、宮城、岩手を中心とした東北太平洋沿岸部に非常に甚大な被害を与えました。私たち岩手医科大学を含む、被災各県の大学・研究機関では、発災から10年以上にわたる長期間、被災者支援を目的とした健康調査を継続的に行ってきました。この世界に類を見ない大災害が、長期的に人の健康と生活に影響したものは何か。それは瞬間的な地震津波の直接被害だけではなく、長期にわたる医療・福祉・介護の課題、地域の崩壊と再建、人のつながりの分断と創出など、私たちはそれらを復興の過程と共に目の当たりにしてきました。一方で私たちは、災害後のみならず平時の地域づくりやリハビリテーション支援に生かすことができる多くの知見と経験を得てきました。今回の講演では、国内で実施されている災害保健の疫学研究から学び、考えることができる「地域リハビリテーション」を、私にとって大切な存在である福島県作業療法士会の皆さまと共有したいと考えています。学会場でお会いできることを楽しみにしております。

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