講演情報

[R1-14]ジンバブエ産天然ダイヤモンドの特徴及び成長環境についての考察

*阿依 アヒマディ1 (1. Tokyo Gem Science LLC.)
PDFダウンロードPDFダウンロード

キーワード:

ジンバブエ、マランゲとムラワ沖積鉱床、グリーン、暗褐色ダイヤモンド

ダイヤモンドの原生鉱床は、常にクラトンと呼ばれる地殻の極めて古い部分に付随して発見される。ボツワナ、南アフリカ、ジンバブエにまたがるカープバール・クラトンとジンバブエ・クラトンには、世界的に有名なダイヤモンド鉱山が数多く存在する。2001年にデビアス社によって、ジンバブエ・モザンビーク国境付近のジンバブエ・クラトンからダイヤモンドが発見された。ジンバブエ・クラトンは36億年から35億年前の基盤花崗岩・緑色岩の陸塊から構成され、マランゲとムロワ地域で沖積ダイヤモンド鉱床が分布している。これらの鉱床ではダイヤモンドを含むキンバーライトが発見されず、ダイヤモンドは局地的に風化作用を受けてできた軟らかい第四紀堆積物から採掘されています。マランゲ産ダイヤモンドは一般的に大きく(1個あたり5~7ct)、産出量も豊富(1トンあたり1ctから30ct超)で、外観は暗緑色、黒褐色、黒色を呈し、強度な丸みを帯びた八面体、八面体と六面体の両方のセクターを含む混合型ダイヤモンドがよく産出されている。一方、ムロワ鉱床では、明るい黄緑色、緑褐色、褐色を持つ正八面体に近い品質の良いダイヤモンドが産出されている。特にマランゲ産ダイヤモンドの表層に薄い不透明な暗緑色のコーティングを有し、内部には微小インクルージョン「クラウド」、針状のグラファイトが多く含まれ、肉眼でも確認できる。一部石の内部亀裂に沿って発生する暗褐色の放射線染みの組み合わせによるものもある。本研究では、ジンバブエ東部の両沖積鉱床産の緑色系と暗褐色系ダイヤモンドの原石とカットの色の起源を調べ、緑色系ダイヤモンドは自然界の放射線照射を受け、GR1(V0)欠陥が形成され、ジルコンなどの放射性鉱物を含むウムコンド礫岩中に数十億年存在したことに関連していると思われる。黒ずみを帯びる暗褐色系ダイヤモンドは、水素を多く含む微小クラウド、微細な針状グラファイト、そして亀裂目に入った暗緑褐色の放射線染みの組み合わせによるものであることが示されている。この放射線染みの緑褐色は、後期の広域変成作用中にダイヤモンドが加熱されたことによるもので、これにより H3 (NVN0) および NiN 複合体の欠陥の形成が促進されたと思われる。また、特にマランゲ産六八面体の混合で成長したミクスト・ハビット(mixed habit)型のダイヤモンドには多くの窒素が含まれ、八面体成長帯に水素に関連する欠陥が含まれ、グラファイトの微小内包物が六面体セクター内にのみ存在し、このグラファイト微小クラウドはメタン流体内包物と、包物紫外線励起で緑黄色に発光するニッケル関連のNi-N欠陥とH3欠陥に起因していると思われる。ジンバブエのウムコンド石英礫岩層から産出されたダイヤモンドは地表付近の放射性鉱物(ジルコンなど)を含む地層に長期間滞留し、緑色の放射線斑点が生じたと考えられる。ウムコンド層群は緑色片岩相から角閃岩相への変成作用を受けており、この変成作用によって、これらの緑色の放射線斑点が褐色に変化するのに必要な温度がもたらされたと考えられる。