講演情報
[S2-07]大西洋アトランティス岩体における岩石ー海水反応に関する考察:IODP 第399次航海の結果
*阿部 なつ江1,2 (1. 国立研究開発法人海洋研究開発機構、2. 金沢大学大学院)
キーワード:
蛇紋岩化かんらん岩、アトランティス岩体、国際深海科学掘削計画第399次航海、岩石物性、孔内計測
IODP第399次航海(2023年4月12日~6月12日)は、海洋コアコンプレックス形成過程、海洋地殻〜上部マントルにおける変成作用、地球上の生命発生時の太古のシステムを代表する水と岩石の無機反応、海底地下の生命活動の解明を目的として、ジョイデス・レゾリューション号によって実施された。蛇紋岩掘削サイトでは、新たにHole U1601Cが1267.8 mbsfまで掘削され、IODP史上5番目の深さのハードロック孔となった。Hole U1601Cは、蛇紋岩化したかんらん岩と少量の斑れい岩の貫入岩で構成されている。岩石記載、化学組成分析、岩石物性計測、古地磁気学的計測の他、温度、密度、空隙率、弾性波速度などの孔内測定が行われた(Lissenberg et al., 2024 Science; Lang et al., 2025 Proceedings)。 Hole 1601Cから採取された岩石コア試料の船上分析および孔内計測の結果、掘削孔の上部200m程度までと、それよりも深い部分で、物性が異なることがわかった。例えば、Natural Gamma Ray測定では、上部200mまでの値が高く、孔内計測によって特にUの値が高いことがわかった。その部分は、それよりも深い部分と比較して、帯磁率・密度が低く、蛇紋岩化率がやや高い。さらに孔径の平均がやや大きいことがわかった。これらのことから、掘削サイト付近では、海底下200m程度まで、海水の循環程度が高いことが推測される。
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