講演情報
[S2-P-04]埼玉県皆野町と長瀞町に露出する三波川変成帯とみかぶ緑色岩帯に属する蛇紋岩中の炭酸塩脈に含まれる流体包有物の塩濃度および均質化温度
*北島 怜悦1、田中 冬馬1、川本 竜彦1 (1. 静岡大・理地)
キーワード:
オフィカーボネイト、御荷鉾帯、流体包有物
関東山地三波川変成帯とみかぶ緑色岩帯に属する蛇紋岩体(樋口蛇紋岩体と金崎蛇紋岩体)の中に入っている炭酸塩脈の流体包有物を解析した。 三波川変成帯の樋口蛇紋岩に入るマグネサイト脈中の流体包有物の均質化温度は152±4℃、塩濃度は3.9±0.2 wt.% NaCl当量、後から入ったドロマイト脈中の流体包有物の均質化温度は154±14℃、塩濃度は2.8±0.6 wt.% NaCl当量であった。ほぼ同じ温度条件で2種類の脈が形成されたが、塩濃度は異なっていたと考える(田中ほか、2024、日本地球惑星科学連合大会要旨)。 みかぶ帯の岩石は海洋プレート起源とされる。金崎蛇紋岩体のオフィカーボネイトの炭酸塩鉱物は、その産状と同位体比によって複数のタイプに分類することができる(大柳ほか、2025、日本地球惑星科学連合大会要旨)。本研究で調べた炭酸塩脈はカルサイトとドロマイトで構成される。ドロマイト脈内の流体包有物のラマンスペクトルは、流体包有物がH2Oからなることを示す。マイクロサーモメトリーでは、気相と液相の均質化温度は 170±25℃(n=9)で、氷の最終融解温度から予想される平均塩濃度は 2.6±0.5 wt.% NaCl (n=9)であった。 三波川帯蛇紋岩で採取したマントルウェッジ由来のオフィカーボネイトと、みかぶ緑色岩帯で採取した海洋プレート由来のオフィカーボネイトに含まれる流体包有物の特徴を比較し議論したい。