講演情報
[S3-P-02]rDACを用いた高温高圧大歪変形実験で得られたブリッジマナイトの結晶方位選択配向に関する予察的結果
*夏井 文凜1、東 真太郎1、岡﨑 啓史2,3、上杉 健太朗4、安武 正展4、河口 沙織4、Gréaux Steeve5、野村 龍一6、太田 健二1 (1. Science Tokyo、2. 広大、3. JAMSTEC、4. JASRI、5. 愛媛大、6. 京大)
キーワード:
下部マントル、ブリッジマナイト、変形実験、X線回折、結晶方位選択配向
地震波観測より、アフリカと南太平洋地下の下部マントル中部から最下部マントルにかけてS波速度が遅い領域(LLSVP:Large Low Shear Velocity Provinces)が存在することが確認されている。さらにその縁部分では地震波速度が地震波の進む方向によって異なる地震波異方性が報告されている。地震波異方性は鉱物の結晶軸が特定の方向に並ぶ結晶方位選択配向(CPO:Crystallographic preferred orientation)の発達によって生じている可能性があり、その領域における構成鉱物の変形とCPO発達の関係を調べることで重要な知見が得られる。本研究では下部マントル主要構成鉱物であるBridgmaniteの多結晶体について、下部マントル圧力条件での大歪変形実験を行い、変形に伴うCPOの発達とすべり系を調査し、LLSVPの地震波異方性との関係を考察することを目的とする。 本研究では、回転式ダイヤモンドアンビルセル(rDAC)を用いて、 Bridgmaniteの多結晶体のねじり変形実験をSPring-8 (BL47XU)にて行った。加圧システムにはメンブレンガス圧加圧装置を用い、加熱システムにはイメージ炉を用いた。変形前の試料には、板状のPtマーカーを試料回転軸に平行に配置しており、変形実験前後のX線ラミノグラフィー法によるPt歪マーカーの観察、および変形実験中のその場X線回折(XRD)測定を行った。X線ラミノグラフィー法から得られた再構成断面像から試料の歪を決定し、1角度(回転軸に対して60°方向)XRDより変形実験中の鉱物のCPO決定を試みた。CPO決定のための組織解析にはMaterial Analysis Using Diffraction(MAUD)による結晶方位分布関数(ODF)が組み込まれたRietveld解析を行った。 圧力<60 GPa、温度300-850 K、歪速度一定の条件でBridgmaniteの変形実験に成功した。予察的な結果ではあるが、 ~60 GPaの変形実験においてBridgmaniteは(010)面が支配的なすべり面である結果を示した。