日本学生相談学会第43回大会

ワークショップ

1. ワークショップ一覧


5月10日(土) 13:45~18:45(WS1~11)/14:00〜19:00(WS12)

No.

講師

研修領域

タイトル

定員

WS1桐山 雅子A学生相談の基礎【事例の募集あり】20名
WS2川畑 直人B学生相談に生かす精神分析的コーチング【事例の募集あり】50名
WS3川上 ちひろC医療系学部の発達障害のある学生の支援を考える50名
WS4松本 俊彦C自傷・オーバードーズ、薬物依存の理解と対応【事例の募集あり】50名
WS5髙橋 桐子D障害学生支援とUDL50名
WS6工藤 晋平Dアタッチメントと学生支援【事例の募集あり】50名
WS7船津 静代
竹本 美穂
D社会への移行につながる豊かな支援のために50名
WS8町田 奈緒士Dセクシュアル・マイノリティの大学生の体験世界とは【事例の募集あり】50名
WS9大山 泰宏E高等教育論からみた学生相談50名
WS10宗像 雄E学生相談機関における情報の取扱いに関する考え方(倫理委員会企画)50名
WS11杉江 征
太田 裕一
林 潤一郎
小橋 亮介
Fカウンセラーの語りを通して学生相談の実践と研究をつなぐ (研究委員会企画)50名
WS12角羽 康希
服部 正
B学生相談への社会的処方の応用の取り組み:
「夕方さんぽ」と「雑談・屋台カフェ」の事例から
20名

 

2. ワークショップについて

各コースは日本学生相談学会認定「大学カウンセラー」「学生支援士」の資格取得および継続研修のための研修カリキュラムのそれぞれの研修領域に該当します。また、(財)日本臨床心理士資格認定協会が定める臨床心理士資格更新要件「教育研修機会」のうち、「関連学会での諸活動への参加:ワークショップ」に認定されます。参加された方には研修証明書を発行します。研修証明書の発行には5時間の出席が義務付けられています。途中入場、退場の場合は要件を満たすことができませんのでご了承ください。
 

3. 申し込みについて

当サイト参加申込・研究発表申込メニューよりConfitにアクセスし、手続きに進んでください。希望するコースを第 3 希望まで選択し、期限までにお申し込みください。先着順(入金完了時点)で受講コースを決定しますので、お早めにお申し込みください。ワークショップのみのお申し込みも可能です。

参加申込と参加費等の入金をもって参加申込の完了となります。なお、一度お申込みいただいたコースは変更できませんので、ご了承ください。

ワークショップは当日受付による参加はできません。

受講コースの通知はメールにて2025年3月上旬頃を予定しております。

ワークショップ参加申込・入金期日:2025年1月5日(日)

 


コース紹介

WS1. 学生相談の基礎 (会場 ウインクあいち)

研修領域:A
定員:20名

講師:桐山 雅子(元中部大学)
 

本コースでは、学生相談に携わって年数の浅いカウンセラーを対象として「学生相談とは何か」について一緒に考えたいと思います。学生相談の目指すところ、学生との接し方、見立て、学生相談固有の問題等について事例を交えながら検討します。一人職場の方もいらっしゃると思いますので、自由に意見交換のできる「何でも質問タイム」も設ける予定です。

【講師から】:参加者には、学生相談に携わって困っていること、疑問に思うこと、このワークショップで取り上げてほしいこと等について、事前にメール等でお聞きします。事例や話題提供をお願いする場合もありますのでご協力をお願いします。

 

きりやま まさこ
学生相談に関わった31年間は、目標に向かって夢中になって走り抜けた日々でした。退職して7年になりますが、やりがいのある仕事に巡り合えたことを幸せに思います。その中で学んだことや、学生相談の面白さを少しでもお伝えできればと思っています。

 

WS2. 学生相談に生かす精神分析的コーチング (会場 ウインクあいち)

研修領域:B
定員:50名

講師: 川畑 直人(京都文教大学)
 

一見すると交わりがないように見える精神分析とコーチングを、連続体として捉え、両者のバランスを考えながら相談業務に生かす方法について、Halina BrunningのExecutive Coachingの考え方を参考にしながら検討します。大学内における相談室の業務を、組織的な観点から見直すとともに、アクティブなアプローチに含まれる「今・ここ」での情緒交流を分析的な視点をもって臨床状況の理解につなげたいと思います。受講者の提示する事例の検討を含めることで、実践的な学びの機会になることを目指します。

【講師から】:事例を募集します。就学支援におけるコーチング的要素と、パーソナリティの問題に対する臨床的要素のバランスで悩むケースがあれば結構ですが、それにこだわらずどのような事例でも大丈夫です。

 

かわばた なおと
京都文教大学教授。公認心理師。臨床心理士。有限会社ケーアイピーピー代表取締役。ウィリアム・アランソン・ホワイト精神分析研究所精神分析家。 

 

WS3. 医療系学部の発達障害のある学生の支援を考える (会場 ウインクあいち)

研修領域:C
定員:50名

講師: 川上 ちひろ(岐阜大学)

医療系学部(医・歯・薬・看護・リハなど)の学生で、対応が難しい・支援が必要な学生の事例がいくつか報告されています。そのような医療系学生の特徴や対応が難しい状況になる背景や原因などを、ファシリテーター(企画者)から情報提供します。そして参加者のこれまでの学生対応の経験を共有し、カウンセラーや事務職員などご自身の立場と役割で、今後どう対応・支援すればいいか共に検討したいと考えています。

 

かわかみ ちひろ
医療系学部における多職種連携教育、コミュニケーション教育、発達障害のある学生や医療職のサポート、発達障害のある児者の性教育などの実践や研究を行ってきました。保健師、看護師、公認心理師、養護教諭です。

 

WS4. 自傷・オーバードーズ、薬物依存の理解と対応 (会場 ウインクあいち)

研修領域:C
定員:50名

講師: 松本 俊彦(国立精神・神経医療研究センター

本ワークショップでは、自傷と市販薬オーバードーズの理解と対応、ならびに、学生に違法薬物使用を知った際の対応に関する法的な根拠、薬物依存症の学生に対する対応やその家族に対する助言について取り上げ、その実践について学ぶ会としたい。

【講師から】:事例を募集します。自傷や自殺企図、市販薬乱用・依存、違法薬物使用などの事例があるとありがたいです。
 

まつもと としひこ
国立精神・神経医療研究センター精神保健研究所薬物依存研究部部長。精神科医。1993年佐賀医科大学卒業。国立横浜病院精神科、神奈川県立精神医療センター、横浜市立大学精神科などを経て、2015年より現職。

 

WS5. 障害学生支援とUDL (会場 ウインクあいち)

研修領域:D
定員:50名

講師: 髙橋 桐子(ハワイ大学)

高年齢社会に伴い、「ユニバーサルデザイン(UD)」の重要性が高まりつつ、UDという言葉も普及してきています。しかし、大学等の高等機関の就学場面でのUD、「学びのユニバーサルデザイン」UDLはまだあまり聞きなれないかもしれません。UDLの方針、考え方、また取り組みは、障害のある学生を含むすべての学生が積極的に学べる環境、アセスメント、内容を作り上げるのに必要です。このコースではUDL方針の基本を学び、UDLと合理的配慮の違いを知り、UDLの取り組みにより、障害のある学生への個々のサポートや支援方法がどう変わるかを米国大学の事例を参考に話し合い、一緒にUDLについて理解を深めていきたいと思います。
 

たかはし きりこ
米国ハワイ大学マノア校障害学研究センター・暫定ディレクター、東京大学先端科学技術研究センター・特任准教授。博士(教育学)。日本とアメリカ両国で子供から大人まで障害や文化をテーマに研究・活動しています。

 

WS6. アタッチメントと学生支援 (会場 ウインクあいち)

研修領域:D
定員:50名

講師: 工藤 晋平(名古屋大学)

近年、心理臨床の様々な領域で名前の挙がるアタッチメントについて、その理論や研究を紹介し、その視点が臨床実践の中でどのように使われるのかを概説します。その後、学生支援の領域において、家族関係、対人関係、自傷、犯罪、発達障害といった問題や課題に取り組む中でこれがどのように参照されるかを例題とともに例示します。最後に、事例検討の中でより具体的な活かし方を提示したいと思います。 

【講師から】:事例を募集します。学生支援に関する事例であれば、内容は問いません。
 

くどう しんぺい
精神分析やアタッチメント理論を背景に精神科、刑務所、民間保護施設等での臨床を経て、現在障害のある学生の修学支援に取り組んでいます。他に社会的養護領域での支援者支援にも携わっています。社会の端っこで生きています。 

 

WS7. 社会への移行につながる豊かな支援のために (会場 ウインクあいち)

研修領域:D
定員:50名

講師: 船津 静代(名古屋大学)・竹本 美穂(名古屋大学)

学生一人ひとりに寄り添った支援のその先に、社会人への移行が待っています。本人らしい将来の探索のために、学内外でどのような資源が使えるのか、誰とどうつながると豊かな支援が展開できるのか。現代学生の子供の頃の育ちから、働きだす世界の最新状況や、障害を持つ学生やいわゆるグレーゾーンを含む「進路獲得に不器用な」学生の就活の実態など気になる話題を一緒に確認していきます。そして、一般論ではない、私たちにできる豊かな支援をともに考える機会になればと願っています。情報提供に加え、参加者の皆さんの現場・現状を理解しあいながら知恵を出し合うセッションを予定しています。「早く現場で生かしてみたい!」と学生とのやりとりがまちどうしくなるワークショップをめざします。

【講師から】:参加ご応募いただいた方には、その後、質問を募集しますので、よろしくお願いいたします。

 

ふなつ しずよ・たけもと みほ
名古屋大学学生支援本部キャリアサポートセンターに相談室を持ち、日ごろから学生相談の相談員と一家のように進路支援に携わっています。そのことが、この上なくありがたく、連携を含む周辺資源の活用がいかに支援者自身を力強く支えてくれるかを実感している毎日です。

 

WS8. セクシュアル・マイノリティの大学生の体験世界とは (会場 ウインクあいち)

研修領域:D
定員:50名

講師: 町田 奈緒士(奈良女子大学)

本コースでは、LGBTをはじめとするセクシュアル・マイノリティについて学び、彼らに対する支援のあり方について参加者のみなさまと共に考えることを目的としています。まずは、性(セクシュアリティ)に関する基礎的な概論についてお話しした上で、これまでに実施してきたインタビュー研究や、大学の自助グループで実施しているワークの中で得られた語りなどをご紹介したいと思います。コースを通じて、彼らの体験世界について少しでも追体験ができ、それを今後の関わりに生かせるような場にしたいと思います。

【講師から】:特に限定はせず、幅広く事例を募集し、その中から検討事例を選ばせていただくことができればと思います。

まちだ なおと
名古屋大学ジェンダーダイバーシティセンター特任助教を経たのち、現職。心理臨床の理論や実践にジェンダー学的な視点や感性を導入することに関心を寄せています。

 

WS9. 高等教育論からみた学生相談 (会場 ウインクあいち)

研修領域:E
定員:50名

講師:大山 泰宏(放送大学)

学生相談の日々のミクロな実践も、高等教育システムというマクロな文脈の中にあり、その影響を受けています。このワークショップでは、高等教育論の立場から、学生相談の歴史的展開の検討、国際比較、現代社会における学びに関わる課題の分析などを通して、現在の日本の学生相談の置かれている文脈を明らかにし、学生相談の実践者が自分たちの活動をどのように自覚的に位置づけ、学生の教育に参画し、それをさらに企画・発展させていくかについて、考えていきます。

おおやま やすひろ
1997年から10年間、高等教育研究に従事し臨床心理学の立場から学生支援や大学評価を研究しました。その後、大学院で臨床心理士の養成に関わりつつ、現代社会における若者の心性や学びの特徴に関する研究をおこなっています。

 

WS10. 学生相談機関における情報の取扱いに関する考え方【倫理委員会企画】 (会場 ウインクあいち)

研修領域:E
定員:50名

講師: 宗像 雄(関谷・宗像法律事務所)

学生相談機関は、大学という組織の中で微妙な立場にあります。先ず、学生相談機関の存在理由は「学生支援」にあります。ただ、「学生支援」という言葉の意味内容は必ずしも明確ではありません。また、学生相談機関は、大学の一部署でありながら他の部署とは異なる面があります。大学組織の中における位置づけ、そこで働く者の地位は、大学毎に異なっています。しかし、現状、これらの内容が十分に理解されているとは言い難いです。また、学生相談機関で働く者は、学生相談の過程で学生から様々な情報を取得しますが、この情報に関しては、当該学生本人はもとより、その保護者、他の学生、更には大学自体も利害関係を有しています。それゆえ、学生相談機関で働く者は、その情報の取扱いに関して本来的に「板挟み」の状況にあります。今回の研修では、具体的なケースをもとに、法律家の視点から、このような微妙で複雑な問題の考え方を示してみたいと考えています。

【講師から】:事例の募集はしないが、事前に、当職が作成をしたケースを配布し、参加者からは、それに対する回答を提出してもらうことを考えています。

むなかた ゆう
弁護士。大学の顧問弁護士として、また教員として、20年以上にわたって学生と向き合い、大学と学生をめぐって生じる法律問題を扱っている。「大学生が出会うリスクとセルフマネジメント(学苑社,2015,共著)」など著書多数。 

 

WS11. カウンセラーの語りを通して学生相談の実践と研究をつなぐ【研究委員会企画】 (会場 ウインクあいち)

研修領域:F
定員:50名

講師: 杉江 征(筑波大学)・太田 裕一(静岡大学)・林 潤一郎(成蹊大学)・小橋 亮介(岡山大学)

学生相談カウンセラーは身分や立場、役割にかかわらず、日々実践に取り組み、学生のニーズに応答し、高等教育の発展に尽力しています。しかし、研究の方法論や多忙さ等の問題により、日々の実践と研究がつながらないままになっていることもあるのではないでしょうか。本ワークショップでは、経験豊富なカウンセラーがどのように困難と苦悩を乗り越え、個別事例・グループ活動・心理教育等の実践と研究をつないできたのか、カウンセラーの体験の語りを通して具体的に学びます。また、皆さまとの語り合いを通して、皆さまの実践と研究をつなぐ際の困難を共有し、解決策を検討したいとも思います。
 

すぎえ まさし
筑波大学スチューデントサポートセンター学生相談室長。学生相談を理解してもらえるような「外に向けた」研究や情報発信が必要だと思っております。どのように成果を出して、どのような言説を作っていったら良いか、まだ乗り越えられていないのですが、参加してくださった皆さんと一緒に知恵を絞っていきたいと思っております。

おおた ゆういち
静岡大学保健センター教授。日々実践の中にあり研究からは遠くにいるという自覚がありますが、そうは言っても教員であるからには研究から逃れるわけにはいかず、そういう立ち位置でお話できればと思っています。

はやし じゅんいちろう
成蹊大学学生サポートセンター学生相談室専任カウンセラー。学生相談では、学生ひとりひとりのニーズと状況に即した役立つかかわりが大切です。そのため相談の在り方も多様であり、そこにやりがいを感じます。一方で、多様ゆえに研究にすることの難しさも痛感してきました。当日はこうした思いも踏まえ、皆様とともに打開策を模索するきっかけを作れたら幸いです。

こばし りょうすけ
岡山大学学生相談室カウンセラー/講師。日々の実践や私たちが体験していることをどうやって言葉にして研究に落とし込み、社会に発信できるのかに苦慮しながら活動しています。今回は特に、カウンセラーの語りに注目し、実践と研究をつなぐ方法を検討したいと思っております。

WS12. 学生相談への社会的処方の応用の取り組み:「夕方さんぽ」と「雑談・屋台カフェ」の事例から (会場 名古屋大学)

研修領域:B
定員:20名

講師: 角羽 康希(地方公務員、Love Life Project)・服部 正(甲南大学) 

地域の社会活動に参加することで孤立を防ぎ、健康の回復を目指す社会的処方の取り組みが、地域医療の分野を中心に広がりを見せています。この研修では、それを応用した学生支援の取り組みの事例として、少人数のグループでキャンパス内を歩きながらそれぞれの想いを話し、想いに耳を傾ける名古屋大学の「夕方さんぽ」と、キャンパス内に屋台を出して5分間の雑談と引き換えに無料でコーヒーを提供する甲南大学の「雑談・屋台カフェ」を取り上げ、企画者が活動について解説するとともに、参加者に実際に体験していただき、その効果や可能性について共に考えます。 

 

かくは こうき
自死遺族。2020年、セルフヘルプグループに癒された経験を基に、Love Life Project を結成。夜さんぽ・夕方さんぽの活動を始める。地方公務員。2023年度名古屋大学大学院修了。

はっとり ただし
兵庫県立美術館学芸員、横尾忠則現代美術館学芸員を経て、2013年より甲南大学准教授、2019年より同教授。専門は美術史、芸術学。障害のある人の創作活動の研究、展覧会企画を行うほか、参加型現代美術の手法をヒントに学内で雑談・屋台カフェの取り組みを行っている。