第64回全国学生相談研修会

小講義2

T4 大学院生への学生相談の可能性(研修領域A)

講師 道又 紀子(東京科学大学)

大学院生は学部生に比べ、より主体的に研究することが求められる。修士・博士と学年が上がるにつれ、その傾向が大きくなる。研究室は、一般に構成員が少なく、指導教員をはじめとする上下関係がはっきりしている。ここに身をおきながら、どう自己実現を目指していくのかは、時に非常に難しいけれど、一方で人としての成長に大きく寄与する過程でもある。

学生相談員や学生支援に携わる教職員は、研究室外で話せる貴重な人的資源であり、この成長に大きくかかわれる可能性がある。この講義では、まず修士・博士のそれぞれの課程で課題となることを挙げる。また複数の架空事例を通してそれを乗り越えるプロセスと学生相談の役割について考えてみたい。

 

講師紹介:道又 紀子(みちまた のりこ)

国際基督教大学大学院修了

1997年から24年間、東京工業大学(現東京科学大学)大学院校舎で大学院生の学生相談に従事。2021年から2025年まで、学生相談室・バリアフリー支援室からなる学生相談部門長。現在は学生相談室の特任教授・企業の外部役員をしています。企業の立場から学生相談を見直しています。

 

T5 大学生の薬物使用と支援 -大学教育機関と医療機関の接続可能性-(研修領域D)

講師 喜多村 真紀(国立精神・神経医療研究センター)

大麻など規制薬物事犯者数、医薬品のオーバードーズによる精神科受診者数・救急搬送者数は増加傾向にあり、薬物使用関連問題(以下、薬物問題)を持つ若年者への支援の拡充が求められる。 

大学生の薬物問題への支援資源として、大学内支援機関(以下、学内支援機関)に対する社会からの期待は高い。その一方で、学内支援機関に実施可能な支援には制限があり、多機関と協働での支援が不可欠である。 

そこで、本講義では、研究者としての立場から、これまでの関連調査について報告するとともに、地域の臨床家として、医療機関が学内支援機関へ望む学生支援について話題提供する。さらに、大学と地域連携の強化に向けた意見交換を行いたい。

 

講師紹介:喜多村 真紀(きたむら まき)

博士(臨床心理学)。2019年より国立精神・神経医療研究センター精神保健研究所薬物依存研究部にて、薬物依存研究に従事。主な研究テーマは、若年者や繁華街に集まる子どものアディクション支援に関する調査、SNSを情報源とするオーバードーズに係る情報疫学。地域のクリニックにて心理臨床に携わる。

 

T6 性暴力被害当事者&支援者の視点から考えるTICと当事者理解・支援(研修領域D)

講師 八幡 真弓(Praise the brave)

性暴力被害当事者&支援者の経験と視点をもとに、トラウマインフォームド・ケアに必要な、被害時や後に起こりうる反応・トラウマの影響についてお話しします。また、2026年刊行の『トラウマの国のアリス 解離性障害と性暴力被害』での記述もご紹介しながら、社会や支援の中で(時に悪意がなくても)起こりうる二次加害(二次被害)、構造的・制度的な二次加害について、また、それらが起きにくいアプローチについて考えていきます。性暴力被害を経験した学生への対応や支援のあり方を見つめ直す機会になれば幸いです。

 

講師紹介:八幡 真弓(やはた まゆみ)

性暴力被害当事者活動家&支援者。『トラウマの国のアリス 解離性障害と性暴力被害』(生活思想社・2026年)著者。Praise the brave代表。自身の経験をもとに、「性暴力被害当事者が語るトラウマインフォームド・ケア」等の講演・研修、執筆活動を行う。