第64回全国学生相談研修会

特別講演

相談はなぜ難しいのか -『斜め論』から考える-(研修領域E)

講 師  松本 卓也(京都大学)

司 会  中島 正雄(放送大学)

 

大学の相談窓口は、うまく機能することもあれば、うまく機能しないこともある。それにはさまざまな理由があるが、ひとつは、学生相談というものが、いつのまにか単なる「管理」であったり「規格化された支援」の場に陥っているということがあるのではないだろうか。本講演では、近年注目されている当事者研究やオープンダイアローグ、あるいはフランスのラボルド病院で実践されている「制度による精神療法」の知恵を借りながら、大学という組織においていかにして「管理」や「規格化された支援」を乗り越える「相談」を可能にするのかを、参加者とともに考えてみたい。

たとえば、フェリックス・ガタリが提唱した「主体集団」や、ジャン・ウリの「コレクティフ」といった概念は、学生一人ひとりの「特異性」が損なわれない場をいかに構築するかを教えてくれるだろう。また、これらの概念を用い、「ケア」という言葉が持つ、「つながり」から「支配」への反転という二面性に光を当てたい。

 

講師紹介:松本 卓也(まつもと たくや)

1983年、高知県生まれ。2008年3月、高知大学医学部医学科卒。2015年3月、自治医科大学大学院医学研究科修了、博士(医学)。2016年4月より、京都大学大学院人間・環境学研究科准教授。研究分野は、精神病理学。著作に『斜め論——空間の病理学』(筑摩書房)、『人はみな妄想する』(青土社)、『心の病気ってなんだろう?』(平凡社)、共編著に『コモンの「自治」論』(集英社)など。