講演情報

[PEM12-P32]Sq-EEJ電流系の3次元構造の解明: GAIAの電気力学モデルを用いた分極効果の寄与の調査

*伊集院 拓也1、吉川 顕正2、三好 勉信2 (1.九州大学大学院理学府地球惑星科学専攻、2.九州大学大学院理学研究院地球惑星科学部門)

キーワード:

電離圏シミュレーション、ポテンシャルソルバー、大気圏-電離圏結合、Sq-EEJ電流系

地磁気静穏時にはSq-EEJ電流系が観測されることは広く知られている。しかし、その渦電流のうちどの部分がペダーセン電流やホール電流の担う部分であるか、またなぜそのような渦構造が発現するのかは未だ謎となっている。
 今までにこのなぞに挑んだ研究が数例ある(多くの説明ではホール伝導度の存在が含まれていないこと[e. g., Ryu et al, 2022]に注意されたい)。Fukushima [1968; 1979]では、分極に注目し電流系を2つに分離した。しかしその理論では電流の連続性や電離圏内のFACが考慮されていなかった。また、Takeda [1991]では、ホール伝導度が存在する場合と存在しない場合で数値計算を行なった。Sq電流の発現にはカウリング効果が重要であると示したが、理論の構築にまでは至らなかった。
 しかし、現在は静電過程での分極効果による電流系発現の理論がYoshikawa et al [2013]によって構築されており、3次元空間におけるSq-EEJ電流系の発現要因について理論的予想がなされている状況である[Yoshikawa et al, AGU fall meeting 2012]。そこで、本研究では数値理論モデルを用いて予想の是非を確認する。
 計算のモデルにはGAIA (Ground-to-topside model of Atmosphere and Ionosphere for Aeronomy) [Jin et al, 2011]を用いた。地球固有磁場はtilted dipoleに近似し、中性大気の風は正午の赤道から発散する分布に簡略化した。計算の結果、Sq-EEJ電流系はダイナモ電場の収束・発散と朝夕のホール伝導度勾配の分極効果の寄与が大きいことが分かった。また、効果としては大きくはないが、ホール伝導度の南北勾配によってSqの渦電流がわずかに正午からずれる可能性がある。加えて、子午面上に電流ループが存在することを確認した。これは過去に予想されていた構造である[Fukushima, 1968; Yoshikawa, AGU fall meeting 2012]。そして、Sq電流系の渦は水平面上に存在するのではなく、上下しながら渦巻いているとわかった。