講演情報
[ACG66-P03]阿武隈川河口域における出水時の土砂収支および地形変化に対する海面上昇と土砂粒径の影響
*菊地 志乃1、有働 恵子2 (1.東北大学工学部建築・社会環境工学科、2.東北大学大学院工学研究科土木工学専攻)
キーワード:
河口、Delft3D、土砂輸送、海面上昇
出水時の河口域では,砂州の侵食と河口テラスの形成,その後の波浪・潮汐による砂浜への土砂再分配という一連のプロセスが存在し,このプロセスの把握は,治水および国土保全の観点から重要である.海面上昇は,このプロセスを変化させ,砂州の消失や沿岸洪水への脆弱性を増加させる可能性がある.しかし,海面上昇を考慮した地形変化に関する将来予測において,出水イベントの影響は十分に評価されていない.本研究は,阿武隈川河口を対象として,海面上昇が河口域の出水時の土砂収支および地形変化に与える影響を定量的に評価することを目的とする.
対象河川は,宮城県に位置する阿武隈川河口域を対象とする.本研究では,波・流れ・土砂輸送の結合数値モデルDelft3Dを使用し,河川流,波浪,海浜流などが相互に作用する河口域の水理条件・地形変化を解析した.解析期間は,2009年8月1日0時から8月15日0時までとした.計算ケースは,海面上昇量が0.00 mで粒径が0.2 mmの基準ケース,0.17,0.40,0.68,0.88 mと海面上昇量が異なるケース,0.1,0.3,0.4 mmと土砂粒径が異なるケースを設定し,海面上昇,土砂粒径の不確実性を考慮することとした.
Delft3Dによる計算の結果,海面上昇を考慮した場合には,上昇量が増加するにつれて沖方向への浮遊砂輸送量は減少した.これは,海面上昇に伴う背水効果によって水面形が変化し,流下方向の勾配が緩やかになることで,掃流力が低下したためであると考えられる.また,砂州周辺の土砂収支は侵食傾向および砂州のフラッシュの発生を示したが,海面上昇に伴ってこの侵食量は減少しており,結果として砂州のフラッシュが抑制された.以上の結果は,出水後の地形回復や周辺海岸の維持を困難にする可能性を示唆する.また,河口前面の土砂収支は河口テラスの形成に寄与する輸送量を示しているが,海面上昇に伴いこの収支も減少した.河口テラスの形成の抑制により,砂州の地形的な安定性が損なわれ,長期的には防護機能の低下を招く恐れがある.
粒径条件を変化させた場合,砂州前後の侵食量は粒径増加に伴い減少する傾向にあったが,0.1mmと0.2 mmの条件間で侵食量に顕著な差は認められなかった.河口前面における堆積量は粒径が小さいほど増加したことから,細粒分は侵食されやすいものの,河口域内,特に砂州周辺で堆積・再配分されていると考えられる.さらに,河口テラス地形の拡大は粒径条件に依存し,粒径が粗い場合には堆積域が砂州周辺に限定され,粒径が細かい場合には沖合へと拡大する傾向が確認された.今後は,粒径別の土砂収支および輸送特性を詳細に解析し,河口域における再堆積・再配分過程を明らかにすることが課題である.
対象河川は,宮城県に位置する阿武隈川河口域を対象とする.本研究では,波・流れ・土砂輸送の結合数値モデルDelft3Dを使用し,河川流,波浪,海浜流などが相互に作用する河口域の水理条件・地形変化を解析した.解析期間は,2009年8月1日0時から8月15日0時までとした.計算ケースは,海面上昇量が0.00 mで粒径が0.2 mmの基準ケース,0.17,0.40,0.68,0.88 mと海面上昇量が異なるケース,0.1,0.3,0.4 mmと土砂粒径が異なるケースを設定し,海面上昇,土砂粒径の不確実性を考慮することとした.
Delft3Dによる計算の結果,海面上昇を考慮した場合には,上昇量が増加するにつれて沖方向への浮遊砂輸送量は減少した.これは,海面上昇に伴う背水効果によって水面形が変化し,流下方向の勾配が緩やかになることで,掃流力が低下したためであると考えられる.また,砂州周辺の土砂収支は侵食傾向および砂州のフラッシュの発生を示したが,海面上昇に伴ってこの侵食量は減少しており,結果として砂州のフラッシュが抑制された.以上の結果は,出水後の地形回復や周辺海岸の維持を困難にする可能性を示唆する.また,河口前面の土砂収支は河口テラスの形成に寄与する輸送量を示しているが,海面上昇に伴いこの収支も減少した.河口テラスの形成の抑制により,砂州の地形的な安定性が損なわれ,長期的には防護機能の低下を招く恐れがある.
粒径条件を変化させた場合,砂州前後の侵食量は粒径増加に伴い減少する傾向にあったが,0.1mmと0.2 mmの条件間で侵食量に顕著な差は認められなかった.河口前面における堆積量は粒径が小さいほど増加したことから,細粒分は侵食されやすいものの,河口域内,特に砂州周辺で堆積・再配分されていると考えられる.さらに,河口テラス地形の拡大は粒径条件に依存し,粒径が粗い場合には堆積域が砂州周辺に限定され,粒径が細かい場合には沖合へと拡大する傾向が確認された.今後は,粒径別の土砂収支および輸送特性を詳細に解析し,河口域における再堆積・再配分過程を明らかにすることが課題である.
