講演情報
[O02-P03]地中熱利用オープンループシステムの還元井に影響を与えうる地下水中の酸化還元電位・細粒物質・鉄酸化細菌分布:岐阜市の事例★招待講演
Hayazi Nadia Zahra Binti1、*大谷 具幸1 (1.岐阜大学工学部社会基盤工学科)
キーワード:
地中熱利用、酸化還元電位、細粒物質、鉄酸化細菌
オープンループ方式の地中熱利用ヒートポンプシステムは再生可能エネルギー利用であり、かつ適切に設計すれば温度が安定した地下水を熱源として利用でき、比較的設置コストを抑えることができるため、脱炭素社会の構築に向けたネット・ゼロ・エネルギー・ビル(Net Zero Energy Building: ZEB)への導入等に期待されている。このシステムは一般に揚水して熱交換後の地下水を再び地下の帯水層に還元井を用いて還元する。そのときに、還元井で目詰まりが生じて、還元能力が低下する可能性が知られている。目詰まりの要因は地下水中の細粒物質、化学反応、微生物の増殖、気泡が挙げられている(Lee, 2013)。これらのうち、細粒物質、微生物、及びそれらに影響を与える酸化還元電位(ORP)の分布に関する研究は限られており、オープンループシステムを導入するに当たって参考にできる事例がないのが実状である。そこで、岐阜県岐阜市をモデルフィールドとして、これらの分布に関して調査を行い、それぞれの関係から還元井の目詰まりに与えうる影響を明らかにすることが本研究の目的である。
調査対象地は岐阜県岐阜市の消防用井戸22本であり、これらの井戸長はいずれも30 mである。ここから地下水を採水し、現地でORPと細粒物質量の指標であるModified Fouling Index(MFI)を測定するとともに、地下水試料を研究室に持ち帰った上で、鉄酸化細菌の測定を行った。鉄酸化細菌の測定では、地下水試料をメンブレンフィルターでろ過し、それをWinogradsky培地(Beimeng et al., 2015)の上に置いて、28℃で3日間培養した後に形成されたコロニー数を計測した。
揚水した地下水のpHは5.9~7.2、電気伝導度は98~290μS/cm、ORPは−160~314 mVの範囲であった。ORPは地域差が大きく、調査対象地をほぼ東西に流れる長良川を挟んで北側では一部を除いて> 100 mVを示すのに対して、南部では主として−100~0 mV、東部では−200~−100 mVの値を示す。MFIは北部では< 1.0 s/L2であるのに対して、南部と東部の一部では> 2.0 s/L2である。鉄酸化細菌は0.01~330 CFU/mLの範囲であり、北部の中でも南西側で高い値が検出された。
この結果をORPに基づいて整理をすると、MFIはORP < 160 mVのときに高い値を示すことがある。また、鉄酸化細菌はORP < 200 mVのときに> 5 CFU/mLの高い値を示し、特にORP 160~200 mVのときに> 50 CFU/mLのきわめて高い値を示す。これは、ORPが低い還元的な地下水中では鉄が溶存することができ、これが揚水されたことに伴って析出することによりMFIが高い値を示すこと、及び鉄酸化細菌は微好気的な条件で繁殖しやすくなるために、そのようなORPのもとで多く含まれていることを示している。よって、オープンループシステムの設置に当たっては、地下水中の鉄濃度が高くても、還元するまでに酸化を抑制して鉄酸化物の生成や鉄酸化細菌の活動を抑えることができれば目詰まりを生じることなく利用可能であると考えられる。
調査対象地は岐阜県岐阜市の消防用井戸22本であり、これらの井戸長はいずれも30 mである。ここから地下水を採水し、現地でORPと細粒物質量の指標であるModified Fouling Index(MFI)を測定するとともに、地下水試料を研究室に持ち帰った上で、鉄酸化細菌の測定を行った。鉄酸化細菌の測定では、地下水試料をメンブレンフィルターでろ過し、それをWinogradsky培地(Beimeng et al., 2015)の上に置いて、28℃で3日間培養した後に形成されたコロニー数を計測した。
揚水した地下水のpHは5.9~7.2、電気伝導度は98~290μS/cm、ORPは−160~314 mVの範囲であった。ORPは地域差が大きく、調査対象地をほぼ東西に流れる長良川を挟んで北側では一部を除いて> 100 mVを示すのに対して、南部では主として−100~0 mV、東部では−200~−100 mVの値を示す。MFIは北部では< 1.0 s/L2であるのに対して、南部と東部の一部では> 2.0 s/L2である。鉄酸化細菌は0.01~330 CFU/mLの範囲であり、北部の中でも南西側で高い値が検出された。
この結果をORPに基づいて整理をすると、MFIはORP < 160 mVのときに高い値を示すことがある。また、鉄酸化細菌はORP < 200 mVのときに> 5 CFU/mLの高い値を示し、特にORP 160~200 mVのときに> 50 CFU/mLのきわめて高い値を示す。これは、ORPが低い還元的な地下水中では鉄が溶存することができ、これが揚水されたことに伴って析出することによりMFIが高い値を示すこと、及び鉄酸化細菌は微好気的な条件で繁殖しやすくなるために、そのようなORPのもとで多く含まれていることを示している。よって、オープンループシステムの設置に当たっては、地下水中の鉄濃度が高くても、還元するまでに酸化を抑制して鉄酸化物の生成や鉄酸化細菌の活動を抑えることができれば目詰まりを生じることなく利用可能であると考えられる。
