講演情報
[O03-P04]温暖化が進むと魚や海藻はどうなるか?★招待講演
*西川 悠1、Eladawy Ahmad1、黒田 寛2、五十嵐 弘道1 (1.国立研究開発法人 海洋研究開発機構、2.北海道大学 低温科学研究所)
キーワード:
温暖化、コンブ、水産資源
海は将来どうなるのかを考えたとき、もちろん現在の美しい景観はこれからも続いてくのだろうかといった点も気になるところだが、海は今後も我々の食生活を支えてくれるのだろうかという、食料安全保障の観点も重要である。かつて海には無限の魚がいて、獲り尽くすことなどないと信じられていた。しかし一部の水産資源が乱獲のせいで激減したのは周知の通りである。また、乱獲が起きずとも気候変動にセンシティブに応答する水産資源があることもわかってきた。今回は、気候変動の影響を受けやすいマイワシとコンブを取り上げ、将来の漁獲量や分布がどのように変化するかを予測した。マイワシは低価格の大衆魚という扱いであり、漁獲の最盛期にはマグロなどの高級魚を養殖する際の餌として利用されるなど、魚食文化を下支えする役割を果たしているが、世界でも稀なほど規模の大きい漁獲量変動を起こす魚でもあり、人為起源の温暖化が始まる前から大変動を繰り返すことで知られている。日本の亜寒帯域を代表する海藻であるコンブは、千年以上前から北海道から日本全国へ輸送され、和食に欠かせない食材として利用されている。しかし20世紀後半以降は分布域や種構成に大きな変化が起きており、温暖化の影響が強く指摘されている。温暖化の進行は、今後の人間活動によって変化する。また、予測を行うモデルも座標の取り方などによって複数種類が存在するため、将来予測は一通りには定まらない。このようにして生じる不確実性を低減するため、将来予測シミュレーションでは、複数の予測シナリオとモデルを用いてあり得る未来を予測するアンサンブル予測と呼ばれる方法が用いられる。本研究では、アンサンブル予測に基づき、将来マイワシはこれまでのように増減を繰り返すのか、増減のタイミングはいつなのか、北海道全域に広がるコンブ生産地のうち温暖化の影響を受けやすい/受けにくい場所はどこかを推定する。
