講演情報
[O08-01]なぜジオ・ガストロノミーなのか?★招待講演
*長谷川 修一1 (1.国立大学法人 香川大学)
キーワード:
ジオパーク、美食、ジオ・ガストロノミー、シビックプライド
1.ジオ・ガストロノミーとは
ジオツーリズム(geotourism)は、地質、環境、文化、美学、遺産、住民の福祉を考慮しながら、その地域のアイデンティティを維持・向上させる観光とされる(UNESCO, 2024)。一方、ガストロノミーツーリズム(gastronomy tourism)は、その土地の気候風土が生んだ食材・習慣・伝統・歴史などによって育まれた食を楽しみ、食文化に触れることを目的としたツーリズムである(観光庁,2024)。ジオ・ガストロノミー(geogastronomy)は、ジオとガストロノミーをあわせた造語である。ジオ・ガストロノミーツーリズムは、その土地の唯一無二の食文化は、その地域の大地の成り立ちに由来することに注目し、その土地でしか出会えない美食と絶景とつながりをジオの視点から深く味わう知的な体験を提供する。また、この活動によって、地域住民のアイデンティティと地域への愛着の醸成につながることも目指している(長谷川,2025)。なお、 Geopark Gastronomy Working Group(2025)はGeopark Gastronomyを提唱している。しかし、この用語はジオパークのエリア内では使用できるが、ジオパークでない地域で使用することが難しい。
2.香川県のおけるジオ・ガストロノミーツーリズム
香川県のおけるジオ・ガストロノミーツーリズムは、観光庁の令和5年度「地域一体型ガストロノミーツーリズムの推進事業」に採択された香川県観光協会による「地球大変動(ジオ)の恵みである海の幸と陸の幸をマリアージュした世界で唯一無二のせとうち讃岐ジオ・ガストロノミーツーリズムの推進」に始まる(観光庁,2024)。ターゲットは、自然景観(絶景)と文化的景観と食文化を五感で楽しみながら、なぜなのかと考える習慣のある、知的で好奇心にあふれた欧米豪の旅行者を設定した。このためには、その土地ならではの科学的で説明が必要なので、香川大学と「美食地質学」で高名なジオリブ研究所の巽好幸所長と連携した。ジオ・ガストロノミーツーリズムの推進は、観光業界だけでなく、幅広い関係者の連携が必要なので、香川県観光協会の下に香川大学、ジオリブ研究所、穴吹トラベルを幹事とする「せとうち讃岐ジオ・ガストロノミー研究会」を立ち上げ、専門ガイド養成、ジオグルメの開発、インバウンド担当者によるモニターツアー、香川県知事を招待してジオグルメ発表会を実施した。
3.香川県のおけるジオ・ガストロノミーのコンセプト
香川県には、讃岐山脈―讃岐平野―瀬戸内海がコンパクトに収まっているので、山の幸、平野の幸、海の幸を身近に楽しむことができる。そして、その食文化を育んだ大地は、以下の3度の大地の大変動と地球規模の気候変動によって造られた。讃岐うどんの食文化もこの大地の変動と気候変動によるジオストーリーで語ることができる(長谷川,2025)
①1億年前:花崗岩を造った大規模なマグマの活動による土台の形成
②1400万年前:日本海拡大直後の瀬戸内火山活動とその後の侵食による造形美の形成
③300万年前以降:中央構造線の右横ずれ断層運動による讃岐山脈、讃岐平野、瀬戸と灘の形成
④1万年前:最終氷期以降の急速な温暖化による瀬戸内海の沈水
4.ジオ・ガストロノミーのモデル地域としての小豆島
小豆島は、食の多様性を大地の成り立ちから解き明かすことができるジオ・ガストロノミーツーリズムのモデル地域である。小豆島では、地質の違いによって、異なる土砂災害が発生し、それぞれ特有の地形と土に適応した土地利用によって多様な特産物が育まれ、地域の産業と観光の基盤になっている。
① 花崗岩:土石流跡地におけるオリーブ栽培とオリーブを利用した製品・料理。
砂地の塩田の塩から発展した醤油づくりが佃煮や醤を利用した料理。
② 土庄層群:地すべり緩斜面における棚田による稲作と果樹園。米の裏作としての小麦栽培からそうめん製造。
③ 瀬戸内火山岩類:岩盤崩壊によって形成された渓谷美と瀬戸内海の眺望。
④ 瀬戸内海の形成:小豆島は瀬戸と灘の境界にあるため、両方の海の幸を愉しめる。
5.ジオ・ガストロノミーの可能性
香川大学では、2025年ジオ・ガストロノミーの視点で、香川大学の学生、首都圏の学生、留学生が小豆島でフィールドワークをする国際共修プログラムを実施し、成果を上げることができた。ジオ・ガストロノミーは、地域を深掘りし、シビックプライドを醸成する教育プログラムとしても期待される。
ジオツーリズム(geotourism)は、地質、環境、文化、美学、遺産、住民の福祉を考慮しながら、その地域のアイデンティティを維持・向上させる観光とされる(UNESCO, 2024)。一方、ガストロノミーツーリズム(gastronomy tourism)は、その土地の気候風土が生んだ食材・習慣・伝統・歴史などによって育まれた食を楽しみ、食文化に触れることを目的としたツーリズムである(観光庁,2024)。ジオ・ガストロノミー(geogastronomy)は、ジオとガストロノミーをあわせた造語である。ジオ・ガストロノミーツーリズムは、その土地の唯一無二の食文化は、その地域の大地の成り立ちに由来することに注目し、その土地でしか出会えない美食と絶景とつながりをジオの視点から深く味わう知的な体験を提供する。また、この活動によって、地域住民のアイデンティティと地域への愛着の醸成につながることも目指している(長谷川,2025)。なお、 Geopark Gastronomy Working Group(2025)はGeopark Gastronomyを提唱している。しかし、この用語はジオパークのエリア内では使用できるが、ジオパークでない地域で使用することが難しい。
2.香川県のおけるジオ・ガストロノミーツーリズム
香川県のおけるジオ・ガストロノミーツーリズムは、観光庁の令和5年度「地域一体型ガストロノミーツーリズムの推進事業」に採択された香川県観光協会による「地球大変動(ジオ)の恵みである海の幸と陸の幸をマリアージュした世界で唯一無二のせとうち讃岐ジオ・ガストロノミーツーリズムの推進」に始まる(観光庁,2024)。ターゲットは、自然景観(絶景)と文化的景観と食文化を五感で楽しみながら、なぜなのかと考える習慣のある、知的で好奇心にあふれた欧米豪の旅行者を設定した。このためには、その土地ならではの科学的で説明が必要なので、香川大学と「美食地質学」で高名なジオリブ研究所の巽好幸所長と連携した。ジオ・ガストロノミーツーリズムの推進は、観光業界だけでなく、幅広い関係者の連携が必要なので、香川県観光協会の下に香川大学、ジオリブ研究所、穴吹トラベルを幹事とする「せとうち讃岐ジオ・ガストロノミー研究会」を立ち上げ、専門ガイド養成、ジオグルメの開発、インバウンド担当者によるモニターツアー、香川県知事を招待してジオグルメ発表会を実施した。
3.香川県のおけるジオ・ガストロノミーのコンセプト
香川県には、讃岐山脈―讃岐平野―瀬戸内海がコンパクトに収まっているので、山の幸、平野の幸、海の幸を身近に楽しむことができる。そして、その食文化を育んだ大地は、以下の3度の大地の大変動と地球規模の気候変動によって造られた。讃岐うどんの食文化もこの大地の変動と気候変動によるジオストーリーで語ることができる(長谷川,2025)
①1億年前:花崗岩を造った大規模なマグマの活動による土台の形成
②1400万年前:日本海拡大直後の瀬戸内火山活動とその後の侵食による造形美の形成
③300万年前以降:中央構造線の右横ずれ断層運動による讃岐山脈、讃岐平野、瀬戸と灘の形成
④1万年前:最終氷期以降の急速な温暖化による瀬戸内海の沈水
4.ジオ・ガストロノミーのモデル地域としての小豆島
小豆島は、食の多様性を大地の成り立ちから解き明かすことができるジオ・ガストロノミーツーリズムのモデル地域である。小豆島では、地質の違いによって、異なる土砂災害が発生し、それぞれ特有の地形と土に適応した土地利用によって多様な特産物が育まれ、地域の産業と観光の基盤になっている。
① 花崗岩:土石流跡地におけるオリーブ栽培とオリーブを利用した製品・料理。
砂地の塩田の塩から発展した醤油づくりが佃煮や醤を利用した料理。
② 土庄層群:地すべり緩斜面における棚田による稲作と果樹園。米の裏作としての小麦栽培からそうめん製造。
③ 瀬戸内火山岩類:岩盤崩壊によって形成された渓谷美と瀬戸内海の眺望。
④ 瀬戸内海の形成:小豆島は瀬戸と灘の境界にあるため、両方の海の幸を愉しめる。
5.ジオ・ガストロノミーの可能性
香川大学では、2025年ジオ・ガストロノミーの視点で、香川大学の学生、首都圏の学生、留学生が小豆島でフィールドワークをする国際共修プログラムを実施し、成果を上げることができた。ジオ・ガストロノミーは、地域を深掘りし、シビックプライドを醸成する教育プログラムとしても期待される。
