講演情報
[O08-03]下北ジオパークにおける海洋環境の多様性と食文化の持続性
―三海域の特性がもたらす恵みと地球環境変化への対応―★招待講演
*佐々木 建一1 (1.国立研究開発法人海洋研究開発機構)
キーワード:
下北ジオパーク、海洋環境、地球環境変化
2016年に日本ジオパークに認定された下北ジオパークは、青森県下北半島の5市町村をエリアとして活動している。本地域は約60km四方の領域に東北日本を形成する主要な4つの地質によって構成され、「まさかり型」と形容される特異な地形をなす。この地形的特徴により、陸奥湾、津軽海峡、北太平洋という特性の異なる三海域に面しており、それぞれの海洋環境に適応した多様な食文化と人々の営みが育まれてきた。
本講演では、下北の食文化の基盤である海産資源を支える海洋物理・化学的特徴とその変動に焦点を当てる。
三海域の特性を整理する。津軽海峡(最大水深約450m)は津軽暖流が卓越する一方、冬季には太平洋側から沿岸親潮が流入する複雑な動態を示す。陸奥湾(最大水深約75m)は、平舘海峡を介して津軽海峡と通じ、津軽暖流起源の水塊で満たされる閉鎖性の強い内湾環境を形成し、太平洋側は暖流・寒流の両水塊が接岸する。これら三海域の多様性が、本マグロ、ホタテ、マイカ、キアンコウ、タラ等の多種多様な水産資源をもたらしている。
近年、皮膚感覚として捉えられる「現実」となった地球規模の環境変動に伴い、下北の海も大きく変わってきた。例えば2025年度の陸奥湾における養殖ホタテガイの大量へい死(へい死率8割超)に象徴される海水温上昇の影響は深刻であり、近海で水揚げされる魚種の交代も起きている。下北地方の食文化の持続可能性を直接的に脅かしていると言えよう。また、大気中二酸化炭素濃度の増加に伴う海洋酸性化の進行も、将来的な資源への負の連鎖として懸念される。他方、近年の我々の研究により、津軽海峡の複雑な海底地形が当該海域の水産資源に好影響を及ぼしている実態も明らかになりつつある。本報告では、これら海洋環境に関する科学的知見を紹介し、下北における「ジオパークガストロノミー」の持続可能性について考えてみる。
本講演では、下北の食文化の基盤である海産資源を支える海洋物理・化学的特徴とその変動に焦点を当てる。
三海域の特性を整理する。津軽海峡(最大水深約450m)は津軽暖流が卓越する一方、冬季には太平洋側から沿岸親潮が流入する複雑な動態を示す。陸奥湾(最大水深約75m)は、平舘海峡を介して津軽海峡と通じ、津軽暖流起源の水塊で満たされる閉鎖性の強い内湾環境を形成し、太平洋側は暖流・寒流の両水塊が接岸する。これら三海域の多様性が、本マグロ、ホタテ、マイカ、キアンコウ、タラ等の多種多様な水産資源をもたらしている。
近年、皮膚感覚として捉えられる「現実」となった地球規模の環境変動に伴い、下北の海も大きく変わってきた。例えば2025年度の陸奥湾における養殖ホタテガイの大量へい死(へい死率8割超)に象徴される海水温上昇の影響は深刻であり、近海で水揚げされる魚種の交代も起きている。下北地方の食文化の持続可能性を直接的に脅かしていると言えよう。また、大気中二酸化炭素濃度の増加に伴う海洋酸性化の進行も、将来的な資源への負の連鎖として懸念される。他方、近年の我々の研究により、津軽海峡の複雑な海底地形が当該海域の水産資源に好影響を及ぼしている実態も明らかになりつつある。本報告では、これら海洋環境に関する科学的知見を紹介し、下北における「ジオパークガストロノミー」の持続可能性について考えてみる。
