講演情報
[O12-P01]えっ?月、青っぽいかも!?
~ターコイズフリンジの色彩を調査せよ~
*森本 月那1、*福川 真彩1、朝倉 花怜1、鈴木 沙悠1、安田 理紗子1 (1. 愛知県立一宮高等学校)
キーワード:
ターコイズフリンジ、月食、オゾン層、周縁減光
1.背景と目的
ターコイズフリンジとは、皆既月食時に、地球本影の縁が青みを帯びる現象である。この現象の要因はオゾン層であるとされているが、曖昧であるため、調査することにした。 本研究では、オゾン層による減光や用いた機材の感度よりターコイズフリンジの色彩を予測し、観測結果と比較した。また、事前予測をもとにターコイズフリンジと考えた範囲が本影の端よりも外側であったため、周縁減光を考慮したシミュレーションを行った。
2.調査1
2‐1予測方法
[1]三角関数を用い、太陽光が通過するオゾン層と天頂のオゾン層の高さの比を求める
[2]図1、図2、図3、図4より10nmごとに光の透過率を読みとる
[3]オゾン層の吸光率(図1)を[1]で累乗計算して[2]をかけあわせ、光の強さを計算(図5)
[4] [3]のうち、フィルタの半値幅の値の和をRGB値に変換し、色彩予測図を作成(図6)
2‐2撮影方法
現象が深夜であるため、StellaShot3のスケジュール撮影機能で半自動で撮影を行う
場所:愛知県立一宮高校屋上
機材:ZWO社ASI-290MM、バーダーRVBフィルタ、タカハシFSQ-106(f530mm)
時間:2025年9月7日22時17分~2025年9月8日4時54分
2‐3解析方法
【1】StellaImage10を用い一次処理
【2】月食画像を満月画像で割り、月の模様を消す
【3】スバル画像処理ソフトMakali`I で開口測光
【4】露出を1秒に統一し、観測点の明るさと本影中心からの角距離で散布図を作成
(図7)
【5】散布図から本影境界の色彩模式図を作成(図8)
[結果]
図5よりV/Bはオゾン層の減光のピークで最小をとり、R/Vはほぼ一定である。観測結果の光の強さは予測よりもRが大きい。45’~50’の範囲ではV、B値の割合が内側より増加する。図7より図9、10を作成する。
[考察]
観測結果のRが予測より大きい原因は、カメラが赤外域に感度を持つためだと考える。これを考慮すると、図10の49’~55’の範囲は図5と似た推移に見られる。よって、この範囲がターコイズフリンジだと推定するが、これは本影の端よりも約5’半影側である。この要因は影がにじむ原理で光がにじんでいることだと考え、調査2を行う。
3.調査2
[シミュレーション方法]
Excelのマクロを用い本影のシミュレーションを行う。
これは図11のAの角距離を定めたとき、各場合の色彩模式図を作成するものである。
〈1〉Aを0.1’ごとに区切った各部分から月面に届く光を重ね合わせて加算
〈2〉得られた光の強さをRVBの比として色彩模式図を作成
[結果]
結果を図12に示す。
[考察]
本影側が暗いのは、Aが小さく周縁減光の大きい光が届くためだと考える。Aが5’付近で本影端から5’以降に彩度の高い色が現れている。StellaNavigatorより今回の月食は本影半径が約44’である。色に表すときの比の扱いにより、彩度の高い範囲は移動するがどの場合も本影端より外側に見られる。調査1より49’~55’をターコイズフリンジとみなすと結果は妥当であり、ターコイズフリンジが本影端よりも外側に見える要因には周縁減光と影の特性があると考える。
[結論]
事前予測と観測結果のRVB比に似た推移が見られたため、ターコイズフリンジはオゾン層の影響を受けていると推測する。観測結果より、ターコイズフリンジは地球中心本影から角距離49’〜55’の位置に現れたと考える。Rのデータを補正し事前予測と観測結果を近づける事が今後の課題である。
[参考文献]
※1気象庁 月平均オゾン分圧の高度分布グラフ https://www.data.jma.go.jp/env/ozonehp/sonde_graph_monthave.html
※2 Atmospheric extinction properties above Mauna Kea from the Nearby SuperNova Factory spectro-photometric data set | Astronomy & Astrophysics (A&A) https://www.aanda.org/articles/aa/full_html/2013/01/aa19834-12/aa19834-12.html
※3バーダー 「UBVRI」光電測光用フィルター特透過性グラフ
http://www.sbig-japan.com/BaaUBVRI/JI.html
※4カメラ特性 KYOEI-OSAKA
https://www.kyoei-osaka.jp/SHOP/zwo-asi290mm.html
※5超高層物理 堀内剛二著 共立出版株式会社
※6ターコイズフリンジの色彩に迫る2022
https://www.asj.or.jp/jsession/2023haru/files/12T.pdf
ターコイズフリンジとは、皆既月食時に、地球本影の縁が青みを帯びる現象である。この現象の要因はオゾン層であるとされているが、曖昧であるため、調査することにした。 本研究では、オゾン層による減光や用いた機材の感度よりターコイズフリンジの色彩を予測し、観測結果と比較した。また、事前予測をもとにターコイズフリンジと考えた範囲が本影の端よりも外側であったため、周縁減光を考慮したシミュレーションを行った。
2.調査1
2‐1予測方法
[1]三角関数を用い、太陽光が通過するオゾン層と天頂のオゾン層の高さの比を求める
[2]図1、図2、図3、図4より10nmごとに光の透過率を読みとる
[3]オゾン層の吸光率(図1)を[1]で累乗計算して[2]をかけあわせ、光の強さを計算(図5)
[4] [3]のうち、フィルタの半値幅の値の和をRGB値に変換し、色彩予測図を作成(図6)
2‐2撮影方法
現象が深夜であるため、StellaShot3のスケジュール撮影機能で半自動で撮影を行う
場所:愛知県立一宮高校屋上
機材:ZWO社ASI-290MM、バーダーRVBフィルタ、タカハシFSQ-106(f530mm)
時間:2025年9月7日22時17分~2025年9月8日4時54分
2‐3解析方法
【1】StellaImage10を用い一次処理
【2】月食画像を満月画像で割り、月の模様を消す
【3】スバル画像処理ソフトMakali`I で開口測光
【4】露出を1秒に統一し、観測点の明るさと本影中心からの角距離で散布図を作成
(図7)
【5】散布図から本影境界の色彩模式図を作成(図8)
[結果]
図5よりV/Bはオゾン層の減光のピークで最小をとり、R/Vはほぼ一定である。観測結果の光の強さは予測よりもRが大きい。45’~50’の範囲ではV、B値の割合が内側より増加する。図7より図9、10を作成する。
[考察]
観測結果のRが予測より大きい原因は、カメラが赤外域に感度を持つためだと考える。これを考慮すると、図10の49’~55’の範囲は図5と似た推移に見られる。よって、この範囲がターコイズフリンジだと推定するが、これは本影の端よりも約5’半影側である。この要因は影がにじむ原理で光がにじんでいることだと考え、調査2を行う。
3.調査2
[シミュレーション方法]
Excelのマクロを用い本影のシミュレーションを行う。
これは図11のAの角距離を定めたとき、各場合の色彩模式図を作成するものである。
〈1〉Aを0.1’ごとに区切った各部分から月面に届く光を重ね合わせて加算
〈2〉得られた光の強さをRVBの比として色彩模式図を作成
[結果]
結果を図12に示す。
[考察]
本影側が暗いのは、Aが小さく周縁減光の大きい光が届くためだと考える。Aが5’付近で本影端から5’以降に彩度の高い色が現れている。StellaNavigatorより今回の月食は本影半径が約44’である。色に表すときの比の扱いにより、彩度の高い範囲は移動するがどの場合も本影端より外側に見られる。調査1より49’~55’をターコイズフリンジとみなすと結果は妥当であり、ターコイズフリンジが本影端よりも外側に見える要因には周縁減光と影の特性があると考える。
[結論]
事前予測と観測結果のRVB比に似た推移が見られたため、ターコイズフリンジはオゾン層の影響を受けていると推測する。観測結果より、ターコイズフリンジは地球中心本影から角距離49’〜55’の位置に現れたと考える。Rのデータを補正し事前予測と観測結果を近づける事が今後の課題である。
[参考文献]
※1気象庁 月平均オゾン分圧の高度分布グラフ https://www.data.jma.go.jp/env/ozonehp/sonde_graph_monthave.html
※2 Atmospheric extinction properties above Mauna Kea from the Nearby SuperNova Factory spectro-photometric data set | Astronomy & Astrophysics (A&A) https://www.aanda.org/articles/aa/full_html/2013/01/aa19834-12/aa19834-12.html
※3バーダー 「UBVRI」光電測光用フィルター特透過性グラフ
http://www.sbig-japan.com/BaaUBVRI/JI.html
※4カメラ特性 KYOEI-OSAKA
https://www.kyoei-osaka.jp/SHOP/zwo-asi290mm.html
※5超高層物理 堀内剛二著 共立出版株式会社
※6ターコイズフリンジの色彩に迫る2022
https://www.asj.or.jp/jsession/2023haru/files/12T.pdf
