講演情報

[O12-P02]ライトカーブから追究する食変光星の性質

*荒川 陽向1、*井上 莉玖1、*鵜飼 琉生1、*田中 杜樹1 (1. 愛知県立一宮高等学校)

キーワード:

食変光星、スマート望遠鏡、連星

1.概要
 私たちは、食変光星について、観測と計算から実験対象星の正体に迫った。実験1では実際に食変光星を観測し、作成したライトカーブを基に考察を行った。それにより、対象星が近接し、大気を共有していることや、二天体の半径に差が存在することが分かった。実験2では、二天体が均一に光っているとする仮説を基に、半径が求められるか検証を行った。それにより、仮説が棄却され、二天体の明るさが異なる可能性や、巨大な黒点が存在する可能性があると考えた。本研究は、食変光星に対する理解を深め、より宇宙の成り立ちに関する考察を深める一助となることを期待する。


2.実験
○実験1
実験概要:対象星を観測し、ライトカーブから考察を行う
対象星:V523Cas (00h40m06.27s , +50°14’15.5”)
観測日:2024/11/6 17:43~23:53
    2024/12/5 18:20~22:46

<方法>
[1]対象星・比較星・チェック星をSeestar S50(図1)で観測
[2]撮影データをマカリで開口測光
[3]比較星の等級から対象星及びチェック星の等級を導出
[4]横軸を時刻、縦軸を対象星の等級としたグラフであるライトカーブを作成
ただし、チェック星の等級が
(得られたチェック星の等級の平均値)±3σ
であったデータのみを使用
[5]観測日時の間隔から正確な変光周期を導出
…横軸を、観測日時を周期で割った余りにし、周期を調整して二日分のライトカーブがちょうど重なる値を見つける
[6]移動中央値を取り、誤差を補正

<結果>
ライトカーブは図2のようになった。
変光周期は0.2318日であった。

<考察>
(1)ライトカーブの形状および短い変光周期から、対象星はEW型の食変光星であると考えられる。
(2)極大と極小の等級の差をgとすると、極小に対する極大の明るさの比は次の式で求められる。
 100.4g
これを求めると、極大は極小の約2.13倍の明るさであった。
よって、二つの天体間に共通の外層が存在する可能性が考えられる。(図3)
(3)極小において一定時間明るさが変化していない。よって、金環食または皆既食が起こっている可能性がある。。
(4)変光周期・すなわち公転周期をT、皆既食が起こっている時間をtとすると、tの間に天体が運動する角度θ(図4)は、次の式で求められる。
 θ=360°×t/T
これを求めると、θ≒12.6°であった。
対象星を構成する二つの天体を球体ととらえ(実際は図3のような形状をしている可能性がある)、半径をそれぞれR,r(R>r)とする。図4のように考えると、二天体間の距離Lは、次の式で求まる。
 L=(R-r)/sin6.3°
これを描くと、図5のようになる。(2)から二天体が近接していると考えると、R:r:Lはおおよそ1:0.75:2.31付近であると考えた。
(5)二つの極小の明るさを比べると(計算式は(2)と同じ)、差は約1.15倍あった。対象星は、(2)より大気を共有している可能性がある。よって、表面が均一に光っていると仮定し、この差は皆既食・金環食時の周縁減光の違いにより発生していると考えた。(図6)

○実験2
実験概要:考察(5)を基に観測及び計算を行い、二天体の半径に関する考察を行う

<方法>
[1]太陽を観測し、周縁減光のデータを取得
[2]中心からの減光の様子を単純な関数に近似
[3]皆既食・金環食の周縁減光を関数モデル化(図7-1,7-2)
[4]関数を積分し、1.15倍の差が出る半径の解を計算

<結果>
半径の解は存在しなかった。

<考察>
解が存在しなかった理由として、前提とした仮説が間違っていた可能性があると考えた。
 実験1の考察(5)では、表面が均一に光っていると仮定した。背理法のようにとらえると、解が存在しないことから仮定の棄却をすることができる。私たちはここから、以下の二つの可能性があると考えた。
・二天体は異なる明るさで光っている
・天体表面に巨大な黒点が存在する

または、仮説は間違っておらず、近似化・関数モデル化の誤差が大きかった可能性や、測定誤差があった可能性も考えられる。


3.結論
 実験1によって、今回観測した食変光星・V523CasはEW型であり、接触していることによって大気を共有している可能性があることが分かった。極小の様子から、二天体は金環食・皆既食を繰り返しており、そこから、二天体には半径の差が存在することが分かった。実験2からは、二天体が均一には光っておらず、明るさに差があることや、巨大な黒点が存在する可能性があることが分かった。


4.参考文献・使用ソフト
永井和男の食変光星観測のページ
http://eclipsingbinary.web.fc2.com/index-j.htm

Mira House
https://mirahouse.jp/start/vs/vs-obs3/

Interactive Roche lobe plotter
https://themikelau.github.io/roche_lobe.html

公益社団法人日本天文学会 シリーズ現代の天文学第7巻「恒星」

スマート望遠鏡を用いた食変光星の解析及びモデルを用いた考察
第24回AITサイエンス大賞

Blender 5.1.0.0

ステラナビゲーター12

GeoGebra 全機能版
https://www.geogebra.org/classic?lang=ja