講演情報

[O12-P59]横浜市神奈川区子安台の浅野中学校・高等学校で見られる箱根東京軽石

*沢登 陽介1、中力 彰太1、井手 理人1 (1. 浅野高等学校)

キーワード:

箱根東京軽石、ボーリング、関東ローム

<研究の背景と目的>

 横浜市神奈川区子安台の浅野中学高等学校の学校内で現地調査・剥ぎ取り標本の作成・椀がけ法による双眼実体顕微鏡観察等を行ったところ、関東ローム層に挟まれる形で,標高約29.8m付近で層厚40cmほどの箱根東京パミス(Hk-TP)を確認することができた(図1)。笠間ほか(2008)や笠間(2018)、高野(1988)により、三浦半島や横浜市西部、神奈川県東北部のHk-TPに関する報告がなされている。また、学校周辺には既存の公開ボーリングデータがいくつかあるが、地質の詳細まではわからない。武蔵野台地を覆う関東ローム層の下部に認められる特徴的な指標層であるTPは周辺地形の考察に役立つ。また、本校はハザードマップで調べると土砂災害警戒区域等に指定されている。そこで、校内の地質の詳細を調べるため、盛り土がされておらず、TPが出てくると予想される箇所(図2)において、ボーリング調査を行い、地質の詳細について明らかにすることを目的とする。

<方法>

手動のハンドオーガー(DIL-100A)を用い地表から深さ4.01mのボーリング試料の採取をおこなった。採取した試料はその場でデジタルハンディ温度計(MC1000-000)と熱電対温度センサー(YC520-13T)を用いて地温を測定し、標準土色帖を用いて色を記録した。
また、採取した試料は実験室にて椀がけ法を用いて鉱物を分離し、実体顕微鏡にて観察を行った。

<結果>

地表から深さ4.01mまでのボーリング試料と、その色と地温の結果を図3・図4に示す。
また、図4と図5は露頭から採取したTPの実体顕微鏡による写真とボーリング試料のうち、色調や目視の観察によりTPと思われる試料の実体顕微鏡による写真である。


<考察と今後の課題>

ボーリング試料の結果より色調は表層40cmほどは黒茶色であり、黒ボク土であると考えられる。深さ1m付近から赤茶色になり、関東ローム層が見られはじめ、2.9m~3.16mほどの深さで色調が明るくなる層が見られた。これは露頭観察の結果とも一致するため、Hk-TPだと考えられる。実体顕微鏡で観察した結果、図5と図6を比較すると、どちらも磁鉄鉱をはじめとする鉄鉱物が認められた。また長石類が多く見られ、輝石も多く見られた。かんらん石もわずかに含まれている点も一致していた。
調査日の気温は16.4℃であったが、地温は表層は13.7℃で深さ2.5mまで地温は上がる傾向が見られ、それ以降は19℃前後で推移していた。

今後の課題として、Hk-TPが見られた深さからさらに40cmほど下部に色調の明るい層が認められており、三浦パミス(MP)ではないかと考察しているため、確かめていきたい。また、掘削を続け、下末吉層まで到達し、学校の地下の地質について理解を深めていきたい。
さらに、ボーリング試料の分析を進め、土砂災害等の災害の危険性についても評価していきたい。

<謝辞>

露頭の剥ぎ取り標本作成時にご指導くださった東京学芸大学の藤本先生、ボーリングの機材を貸して下さった明星学園の堀口先生、帝京平成大学の小森先生には御礼申し上げます。


<参考文献>

・笠間友博・山下浩之, 2008. いわゆる「東京軽石層」について. 神奈川立博物館調査研究報告(自然科学), (13), 91-110.
・笠間友博, 2018. 三浦半島南部の箱根東京テフラ. 神奈川県立博物館研究報告(自然科学), (47), 1-6.
・高野 繁昭, 1988. 神奈川県東北部,下末吉台地における更新世後期の火山灰質粘土層の堆積環境. 自然環境科学研究, 1 (0), 19-26.