講演情報

[O12-P82]八王子市特有の夕焼けと雲の条件とは何か

*谷光 実咲希1 (1. 東京都立八王子東高等学校)

キーワード:

雲、夕焼け、地形

1.目的
私は前年度から八王子市の夕焼けと雲について研究を行っていた。今年度は、雲の発生要因と発生過程により注目して、八王子市ではどのような雲が発生し、その雲が焼けるのかどうか、明らかにすることが目的である。

2.先行研究・仮説
長崎県南部では、山地の影響によって雲が発達しやすいという研究が示されており、八王子市でも山地により雲が見られる例は確認されている。また中層から高層の雲が焼けやすいことがわかっている。台風や低気圧が接近すると、西の空でなくとも焼ける例が確認されている。以上より、地形的要因では、八王子市の西の山地によって雲が発達し、その雲は焼けづらいのではないか、気象学的要因では、台風等が接近したとき、その方角の空で雲が焼けるのではないか、という仮説をたてた。

3.定義
雲の焼けと地形的要因の雲の発達判断について定義した。まず雲の焼けについて、図1のように雲が光の影になっている場合などは「焼けていない」とし、図2のように雲の一部・全体に色がついている場合に「焼けている」とした。また地形的要因の雲は、気象衛星ひまわりの可視画像で、図3のように山地のみに雲が発達している場合は「地形的要因の雲である」とし、図4のように平野にも雲が発達している場合は、天気図で気象学的要因を調べて判断する。

4.手法
観測場所・時刻決定のために予備実験を行う。その後2週間観測を行い、東西南北の空の写真・18時の天気図・気象衛星ひまわりの可視画像・地理院地図の色別標高図を集める。①雲の種類②雲が焼けているか③雲の発生要因を判断する。前年度のデータも再解析し、表にまとめたうえで考察を行う。

5.結果
別資料に結果の一部を示す。

6.考察
①地形的要因
図5より、八王子市は西と北を山地に囲まれた地形であるとわかる。表1,2より、山地による積乱雲・雄大積雲が、特に山地に近い西で多く見られた。ここで文献調査より、発達しきった積乱雲は衰退する過程で他の雲に変化する可能性があるとわかった。そこで、地形的要因による雲の発達が確認された日に見られたすべての雲は地形によって発生した、または地形による雲が変化したと考えることにする。地形的要因による雲が発生した日に見られたすべての雲の焼けを調べると、表3より、巻雲が最も焼けやすかった。つまり、山地によって発達した積乱雲・雄大積雲が巻雲に変化すると、相対的に焼けやすくなるといえる。地形による積乱雲・雄大積雲は分厚く・低く・西に発達するため、日没時に太陽光を遮りやすいと考えられる。さらに雲の高度と太陽高度を計算すると、どの角度に太陽があるとき、どの位置の雲が焼けやすいかわかると考えられる。
②気象学的要因
図6のように、台風が観測地点に接近し始めたとき、その接近する方角によらず、特に高い巻雲などがよく焼けた。また図7のように最も接近したとき、雲は焼けないことが多かった。これは乱層雲が低く空一面を覆い焼けづらいからであると考えられる。

7.課題
観測カメラを設置して自動的に観測を行えるようにしたい。また雲の焼け、地形による雲の発達の判断を客観的にプログラム化したい。八王子市での夏以外での観測、他の地点での観測を行い、仮説を一般化することが望ましい。

謝辞
ご指導いただいた東京都立八王子東高等学校の先生方、ご助言いただいた東京都立大学都市環境学部教授の飯島慈裕様、気象庁気象研究所の荒木健太郎様に深く感謝申し上げます。

参考文献
1.荒生公雄「長崎県南部地方における豪雨と地形」『長崎大学総合環境研究 創立10周年記念特別号』,2007,p.59-71
2.矢花和一「豪雨のメカニズム」『砂防学会誌 42巻4号』,1989,p.32-40
3.山下洋「地形と降雨 地形性上昇気流と雲と降雨」『砂防学会誌 42巻4号』,1989,p.39-48
4.「気象庁 | 天気図」『気象庁 Japa Meteorological Agency』https://www.jma.go.jp/bosai/weather_map/,参照日:2025.8.3
5.『JAXA ひまわりモニタ』(ひまわり可視画像)https://www.eorc.jaxa.jp/ptree/index_j.html,参照日:2025.12.26
6.「地理院地図 / GSI Maps | 国土地理院」『GSI HOME PAGE - 国土地理院』https://maps.gsi.go.jp/#5/36.104611/140.084556/&base=std&ls=std&disp=1&vs=c1g1j0h0k0l0u0t0z0r0s0m0f1,参照日:2025.8.3
7.荒木健太郎『雲を愛する技術』光文社新書,2017