講演情報

[U17-08]室温水溶液中における非生物的硫化カルボニル生成:磁鉄鉱表面で進行するラジカル媒介経路

*田川 翔大朗1、岡田 賢1、北台 紀夫1 (1.海洋研究開発機構)

キーワード:

生命の起源、海底熱水系、硫化カルボニル、酸化還元反応、ラジカル生成

硫化カルボニル (OCS) は、ペプチド形成を促進しうる非生物的「縮合剤」として前生物学的な化学進化において重要視されてきた。一方、初期地球においてOCSがどの環境条件で、どの程度持続的に生成し得たかは議論が十分なされていない。既存モデルでは火山や海底アルカリ熱水系を反応場とした報告がなされているが、生成量の少なさ、OCS生成に寄与する硫黄源の供給持続性、高pHでのOCS加水分解促進など、反応成立に関する制約が残っていた。本研究では、鉄酸化鉱物表面での一電子酸化による硫化水素種のラジカル化に着目し、海底熱水系を想定した反応場におけるOCS生成条件を調査した。特に、硫化水素種と鉄酸化鉱物との反応はpH依存性が知られていることから、どのpH領域で最大化されるかについて検証した。合成Magnetite(Fe3O4) を触媒としてCOとNaSHを嫌気環境下pH2–9にて反応させ、OCS生成量をガスクロマトグラフィーで定量した。結果として、OCS生成はpHに強く依存し、pH4.3の酸性条件下では90%以上の収率で得られた。また同時にMagnetiteがMackinawite(FeS)、Greigite(Fe3S4) へと変化していることが確認された。本会では、これまで明らかになった反応過程について報告するとともに、CO worldとの関わりについて議論する。