講演情報
[P3-03]認知機能低下した左片麻痺在宅者の歩行改善に,身体の後方で表面素材を使用した空間課題が有効であった一例
*竹中 準1、中木村 繁1 (1. ファミリークリニックこころ)
【はじめに】歩行で麻痺側下肢が骨盤より後方に位置する際に「足首から下がわからない」と記述する認知機能低下した左片麻痺者の訪問リハを経験した.身体の後方で,表面素材を足底に使用した空間課題により足底の触圧覚と下肢空間情報を統合した結果,歩行改善に効果を認めたので報告する.
【症例】被殻出血により左片麻痺を呈する70歳代男性,発症後14年経過,Br.stage上肢Ⅲ,手指Ⅱ,下肢Ⅲ,表在・深部覚中等度鈍麻,MMSE18点で短期記憶障害や作業記憶低下を示した。歩行は四点杖使用し軽介助レベル,体幹前傾し左下肢振り出し時の股関節外旋により引っかかり転倒を繰り返し,TUGは1分36秒であった.内省として,左足が後方に位置すると「足首から下がわからない」と記述した.前方に下肢が位置すれば閉眼で体性感覚情報の認識可能であった.
【病態解釈・治療仮説】視覚情報への過度の依存により,後方に左足が位置すると左下肢に注意を向けられず,麻痺側足底の触圧覚や下肢の運動覚情報を認識できないために姿勢や下肢の制御が困難になっている可能性が高い.その結果,麻痺側下肢の異常な伸張反応が誘発され,上記歩行の変質に影響を与えていた.身体の前方では体性感覚情報処理を行え,訓練や行為の改善に有効であると考えられた.
【訓練と結果】歩行の推進期に着目し,幅30㎝×縦15㎝の表面素材を座位(膝の下に踵)で左足底全体に接触して後方・後内方・後外方に移動し①移動した方向,②足底圧の移動方向,について識別課題を実施した.その後に座位(膝の後ろに踵)で表面素材を前方・前内方・前外方に移動し上記①②について識別課題を行い,それぞれ立位でも実施した.結果,感覚障害は残存したが左下肢推進期に股関節外旋と体幹を制御しTUGは58秒,歩行は見守りレベルで転倒なくなり「左の踵が離れてから楽に足を出せるようになった」と記述が変化した.
【考察】歩行中,片麻痺患者の後ろ足はしばしば忘れられている(Rigoni,2019).表面素材を使用した空間課題が,麻痺側下肢が後方に位置した状態での姿勢や下肢・体幹の運動制御に寄与したと考える.認知機能低下し下肢の認識困難な左片麻痺者に,身体の後方で表面素材を足底に使用した空間課題による足底の触圧覚と下肢空間情報の統合が,歩行改善に有効であることが示唆された.
【倫理的配慮】症例に本発表に関し書面で同意を得た.
【症例】被殻出血により左片麻痺を呈する70歳代男性,発症後14年経過,Br.stage上肢Ⅲ,手指Ⅱ,下肢Ⅲ,表在・深部覚中等度鈍麻,MMSE18点で短期記憶障害や作業記憶低下を示した。歩行は四点杖使用し軽介助レベル,体幹前傾し左下肢振り出し時の股関節外旋により引っかかり転倒を繰り返し,TUGは1分36秒であった.内省として,左足が後方に位置すると「足首から下がわからない」と記述した.前方に下肢が位置すれば閉眼で体性感覚情報の認識可能であった.
【病態解釈・治療仮説】視覚情報への過度の依存により,後方に左足が位置すると左下肢に注意を向けられず,麻痺側足底の触圧覚や下肢の運動覚情報を認識できないために姿勢や下肢の制御が困難になっている可能性が高い.その結果,麻痺側下肢の異常な伸張反応が誘発され,上記歩行の変質に影響を与えていた.身体の前方では体性感覚情報処理を行え,訓練や行為の改善に有効であると考えられた.
【訓練と結果】歩行の推進期に着目し,幅30㎝×縦15㎝の表面素材を座位(膝の下に踵)で左足底全体に接触して後方・後内方・後外方に移動し①移動した方向,②足底圧の移動方向,について識別課題を実施した.その後に座位(膝の後ろに踵)で表面素材を前方・前内方・前外方に移動し上記①②について識別課題を行い,それぞれ立位でも実施した.結果,感覚障害は残存したが左下肢推進期に股関節外旋と体幹を制御しTUGは58秒,歩行は見守りレベルで転倒なくなり「左の踵が離れてから楽に足を出せるようになった」と記述が変化した.
【考察】歩行中,片麻痺患者の後ろ足はしばしば忘れられている(Rigoni,2019).表面素材を使用した空間課題が,麻痺側下肢が後方に位置した状態での姿勢や下肢・体幹の運動制御に寄与したと考える.認知機能低下し下肢の認識困難な左片麻痺者に,身体の後方で表面素材を足底に使用した空間課題による足底の触圧覚と下肢空間情報の統合が,歩行改善に有効であることが示唆された.
【倫理的配慮】症例に本発表に関し書面で同意を得た.
