講演情報
[P3-06]頸椎症性脊髄症におけるバランス障害に対する足底知覚トレーニングの効果
*筒井 俊宏1 (1. 近森オルソリハビリテーション病院リハビリテーション部)
【はじめに】
足底知覚トレーニングは高齢者のバランス改善に有用であると報告されている(Park、2018)。一方、頸椎症性脊髄症(以下、CSM)のバランス障害に対して、足底知覚トレーニングの効果を示した報告は見当たらない。今回、CSMに伴うバランス障害を呈した1症例に足底知覚トレーニングを行い、BESTestでその変化を評価したため報告する。
【症例紹介】
本症例は70代男性で、左上肢および両下肢の脱力と痺れを主訴に救急搬送され、CSMと診断された。発症7日目に当院へ転院し理学療法を開始した。治療開始時、座位と立位では円背と体幹右傾斜を呈していた。ASIAは上肢47点、下肢37点で左優位に筋力低下を認めた。感覚ではC5~6領域に軽度鈍麻があり、足関節の運動方向や足底の局在覚・圧覚でエラーを示した。協調性は左側優位で軽度低下していた。BESTestは55点で、反応的姿勢制御(6点)と歩行安定性(3点)が顕著に低下していた。歩行は失調様で、独歩では軽介助を要し、歩行器歩行見守りレベルであった。内省として「脚が勝手にあっちこっちへ行く」と発言した。
【病態解釈とアプローチ】
本症例のバランス障害には、不良姿勢、筋力や下肢協調性の低下、足関節や足底感覚のエラーなどが複合的に関与していると考え、姿勢修正と足底感覚の情報構築を重点に介入した。姿勢に対しては体幹伸展運動や左右の板への接触情報で正中位を学習させた。足底に対してはおはじきで局在覚課題、スポンジで圧覚識別課題を行い、正答率向上に応じて識別の分割数を増やし難易度を調整した。これらは座位と立位で並行して実施した。
【結果】
介入開始後37日において、筋力や協調性、姿勢の改善は軽度だったが、足底感覚の識別能力は向上した。BESTestは88点となり、反応的姿勢制御(14点)と歩行安定性(19点)が改善した。歩行は室内独歩で自立し、本人は「ぎこちないけど言うことを聞かないことはない」と述べた。
【考察】
本症例では、足底感覚アプローチ後に反応的姿勢制御と歩行安定性が向上した。立脚期における重心位置や支持基底面に対する認知精度が高まり、姿勢修正が容易になったことが要因と考えられる。この経過は、CSMのバランス障害に対する足底感覚アプローチの有効性を示唆している。
【倫理的配慮】
対象者には紙面および口頭にて趣旨を説明し、書面にて同意を得た。
足底知覚トレーニングは高齢者のバランス改善に有用であると報告されている(Park、2018)。一方、頸椎症性脊髄症(以下、CSM)のバランス障害に対して、足底知覚トレーニングの効果を示した報告は見当たらない。今回、CSMに伴うバランス障害を呈した1症例に足底知覚トレーニングを行い、BESTestでその変化を評価したため報告する。
【症例紹介】
本症例は70代男性で、左上肢および両下肢の脱力と痺れを主訴に救急搬送され、CSMと診断された。発症7日目に当院へ転院し理学療法を開始した。治療開始時、座位と立位では円背と体幹右傾斜を呈していた。ASIAは上肢47点、下肢37点で左優位に筋力低下を認めた。感覚ではC5~6領域に軽度鈍麻があり、足関節の運動方向や足底の局在覚・圧覚でエラーを示した。協調性は左側優位で軽度低下していた。BESTestは55点で、反応的姿勢制御(6点)と歩行安定性(3点)が顕著に低下していた。歩行は失調様で、独歩では軽介助を要し、歩行器歩行見守りレベルであった。内省として「脚が勝手にあっちこっちへ行く」と発言した。
【病態解釈とアプローチ】
本症例のバランス障害には、不良姿勢、筋力や下肢協調性の低下、足関節や足底感覚のエラーなどが複合的に関与していると考え、姿勢修正と足底感覚の情報構築を重点に介入した。姿勢に対しては体幹伸展運動や左右の板への接触情報で正中位を学習させた。足底に対してはおはじきで局在覚課題、スポンジで圧覚識別課題を行い、正答率向上に応じて識別の分割数を増やし難易度を調整した。これらは座位と立位で並行して実施した。
【結果】
介入開始後37日において、筋力や協調性、姿勢の改善は軽度だったが、足底感覚の識別能力は向上した。BESTestは88点となり、反応的姿勢制御(14点)と歩行安定性(19点)が改善した。歩行は室内独歩で自立し、本人は「ぎこちないけど言うことを聞かないことはない」と述べた。
【考察】
本症例では、足底感覚アプローチ後に反応的姿勢制御と歩行安定性が向上した。立脚期における重心位置や支持基底面に対する認知精度が高まり、姿勢修正が容易になったことが要因と考えられる。この経過は、CSMのバランス障害に対する足底感覚アプローチの有効性を示唆している。
【倫理的配慮】
対象者には紙面および口頭にて趣旨を説明し、書面にて同意を得た。
