講演情報
[P3-07]歩容と歩きやすさに改善を認めたが「丸太のような足」の身体意識は改善しなかった左片麻痺症例
*田島 健太朗1,2、岡本 尚樹2、恒石 剛章2、沖田 学1,2 (1. 愛宕病院 福島孝徳記念脳神経センターニューロリハビリテーション部門、2. 愛宕病院 リハビリテーション部)
【はじめに】歩容と歩きやすさは改善したが身体意識は改善しなかった左片麻痺症例の経過を報告する.
【症例紹介】症例は3年前に脳空気塞栓症により左片麻痺を呈した70歳台の男性である.ボツリヌス療法(BoNT-A)とリハビリ目的で入院した.左側のBr-Stage下肢Ⅴで表在・深部感覚は中等度〜重度鈍麻であった.10m歩行速度は14.86秒で左下肢推進期の膝屈曲と到達期の膝伸展が減少し,左下肢筋の過緊張を認め,半膜様筋,大腿直筋,腓腹筋,ヒラメ筋にBoNT-Aを施行した.歩きやすさのNRSは0で,「左足は丸太のようで重たい」と訴えた.歩行時には「踏ん張るように」と内省を得た.また,下肢の重さに関する志向性が強く,改善した要素に注意が向きづらく課題に集中できないこともあった.
【病態解釈】歩行時の「踏ん張るように」という予測が,左下肢筋の過緊張に繋がり歩行時の円滑な膝の運動が阻害されていると考えた.これらが歩きにくさや「丸太のような足」へと身体意識を変容させ,下肢の重さに対する志向性が強くなっていると考えた.
【治療課題および経過】左推進期の踵の高さの識別,左到達期の膝の距離の識別において身体認識が低下していた.課題時に「足の力を抜く」ことや体性感覚の変化を予測させ,実際に感じた感覚との比較を行った.2週後,左下肢の筋緊張が軽減し,表在・深部感覚は正常〜軽度鈍麻に改善を認めた.歩行速度は変化なかったが推進期の膝屈曲と到達期の膝伸展が出現し歩きやすさのNRSは7に改善した.「力が抜けると軽い」と認識可能となったが身体認識や思考は改善せず「丸太のような重たい感じは一緒」と身体意識も改善しなかった.
【考察】身体所有感は多感覚の統合(Blanke O 2012),運動主体感は予測と実際の感覚フィードバックの一致により惹起される(Bayne T 2007).今回,「足の力を抜く」予測と「力が抜けると軽い」という認識の比較により歩行時の運動主体感が惹起され歩きやすさが改善したと考えた.しかし,「丸太のような足」の改善には,さらに多感覚の整合性を評価していく必要があった.
【倫理的配慮】発表について紙面で症例に説明し同意を得た.また,個人情報保護を遵守した.
【症例紹介】症例は3年前に脳空気塞栓症により左片麻痺を呈した70歳台の男性である.ボツリヌス療法(BoNT-A)とリハビリ目的で入院した.左側のBr-Stage下肢Ⅴで表在・深部感覚は中等度〜重度鈍麻であった.10m歩行速度は14.86秒で左下肢推進期の膝屈曲と到達期の膝伸展が減少し,左下肢筋の過緊張を認め,半膜様筋,大腿直筋,腓腹筋,ヒラメ筋にBoNT-Aを施行した.歩きやすさのNRSは0で,「左足は丸太のようで重たい」と訴えた.歩行時には「踏ん張るように」と内省を得た.また,下肢の重さに関する志向性が強く,改善した要素に注意が向きづらく課題に集中できないこともあった.
【病態解釈】歩行時の「踏ん張るように」という予測が,左下肢筋の過緊張に繋がり歩行時の円滑な膝の運動が阻害されていると考えた.これらが歩きにくさや「丸太のような足」へと身体意識を変容させ,下肢の重さに対する志向性が強くなっていると考えた.
【治療課題および経過】左推進期の踵の高さの識別,左到達期の膝の距離の識別において身体認識が低下していた.課題時に「足の力を抜く」ことや体性感覚の変化を予測させ,実際に感じた感覚との比較を行った.2週後,左下肢の筋緊張が軽減し,表在・深部感覚は正常〜軽度鈍麻に改善を認めた.歩行速度は変化なかったが推進期の膝屈曲と到達期の膝伸展が出現し歩きやすさのNRSは7に改善した.「力が抜けると軽い」と認識可能となったが身体認識や思考は改善せず「丸太のような重たい感じは一緒」と身体意識も改善しなかった.
【考察】身体所有感は多感覚の統合(Blanke O 2012),運動主体感は予測と実際の感覚フィードバックの一致により惹起される(Bayne T 2007).今回,「足の力を抜く」予測と「力が抜けると軽い」という認識の比較により歩行時の運動主体感が惹起され歩きやすさが改善したと考えた.しかし,「丸太のような足」の改善には,さらに多感覚の整合性を評価していく必要があった.
【倫理的配慮】発表について紙面で症例に説明し同意を得た.また,個人情報保護を遵守した.
