講演情報

[P3-11]足底感覚課題が感覚障害を認める身体的フレイル患者の動的バランスに与える影響−既往歴である小梗塞への配慮が有用であった一例−

*名倉 二千夏1、岡本 尚樹1、沖田 学1,2、石村 晃平1 (1. 愛宕病院リハビリテーション部、2. 愛宕病院福島孝徳記念脳神経センター リハビリテーション部門)
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【はじめに】
 身体的フレイルは筋力増強が有用だとされている.今回,既往歴に小梗塞があり動的バランスの低下を認める症例に対し,足底感覚課題を通し動的バランスが向上した症例を経験した.本報告の目的は,本症例の病態解釈と足底感覚課題の有効性を考察することである.

【方法】
 本症例は横紋筋融解症により,当院入院となった80歳台の女性である.病前から屋内伝え歩きにて転倒を繰り返していた.既往歴に両側レンズ核に小梗塞(陳旧性)があり,素材識別(左足底前足部右4/5左2/5・足底踵部右4/5左2/5)と左足底に感覚障害を認めていた.また,入院前より体重軽減傾向であり,入院時BMIは15.56(やせ型)という身体的フレイルが背景にあった.Mini BES Testは6点(予測的姿勢制御1点・反応的姿勢制御0点・感覚機能3点・動的歩行2点)であった.立位や歩行時に体幹が傾斜するが自覚がなく姿勢の修正が困難であり「こけそうなところはないね」と話していた.

【病態解釈】
 屋内で転倒を繰り返す本症例は身体的フレイルによる体重低下や筋力低下を認めていた.一方で,伝え歩きが可能にも関わらず転倒を繰り返す背景には,レンズ核の梗塞による左足底の感覚障害が動的バランスの不安定さや,ふらつきに対する自覚の無さに繋がると解釈した.

【結果】 
 両足底に対し,足底感覚の再獲得により動的バランスの向上を目的に素材識別課題・重心移動課題を座位および立位にて実施した.介入期間は90日間,1日60分程度実施した.結果,TUG:21.08秒(開始時28.68秒),Mini BES Testは8点(予測的姿勢制御1点・反応的姿勢制御1点・感覚機能4点・動的歩行2点),歩幅の拡大・歩行時間が改善した.また,動的バランスのふらつきは継続したが「右にふらつくね」と自覚することが可能となった.

【考察】
 既往歴の感覚障害の影響から動的バランスが低下している身体的フレイル患者に対し,足底感覚課題が有効な関わりとなり得る.足底感覚の改善により立位や歩行時の姿勢不良を修正することや自覚が可能となったと考える.既往歴を含め身体的フレイルの要因を検討し,病態解釈することが動的バランスの改善に寄与した可能性がある.

【倫理的配慮(説明と同意)】
 発表について文書で説明し,同意を得た.個人情報に留意した.