講演情報
[P3-15]骨盤への注意と認識が座位と食事動作の改善につながったパーキンソン病患者の一症例報告
*白石 圭佑1、青木 良磨1、三上 恭平1、加茂 力2 (1. 医療法人社団神天会 登戸内科・脳神経クリニック リハビリテーション科、2. 医療法人社団神天会 登戸内科・脳神経クリニック 脳神経内科)
【はじめに】
パーキンソン病 (PD)患者では,骨盤への注意が向かず,座位が不良となることがある.骨盤への注意と認識,修正方法の指導を行い,座位および食事動作に改善を認めた.症例を報告する.
【症例】
80歳代女性で罹病歴5年のPD患者.Unified Parkinson’s Disease Rating Scale Part 3は28点,Hoehn & Yahr StageはⅢと中等症.Mini-Mental State Examinationは29点で認知機能に問題はなく,Barthel Indexは85点で日常生活は概ね自立していた.主訴は「楽に食事がしたい」であり,観察上も座位不良と食事動作の困難が認められた.座位姿勢は骨盤後傾17.1度,左回旋11度で体幹左側屈し,重心は左後方に偏位していた.体幹の傾きは「左に傾いているんでしょ」と他覚的に認識していたが,骨盤の向きは「どこを向いているのかわからない」と訴え,主観的な認識が乏しかった.骨盤左回旋位を他動的に修正すると「右に向いている」「左足がしっかり着いていない」と訴えた.食事動作は,座位が安定せず「食べづらい」「食べこぼしが多い」と訴えた.
【病態解釈】
骨盤に対する注意が乏しく,さらに骨盤の方向の認識は自覚と他覚で差が生じているため,適切な姿勢修正が困難となっていると考えた.骨盤に注意を向け,自覚と他覚の差を修正することで,座位と食事動作が改善すると判断した.
【治療と経過】
他者の骨盤の回旋位と正中位の姿勢を提示し,骨盤の状態が座位に影響することを認識させた.さらに,症例の骨盤を左右に回旋し,違いを比較して誤差学習を促すことで,左回旋位を自覚し,修正が可能となった.しかし,骨盤の後傾が残存して座位の改善に至らなかったため,症例が自覚していた足底との関係を利用して前傾方向への修正を促した.介入の結果,骨盤後傾4.4度,左回旋は1.2度まで減少し,食事時の座位も安定した.主観的にも「前よりも食べやすい」と変化した.
【考察】
症例は,骨盤への注意と認識,修正方法の指導を通じて座位が安定し,食事動作が改善した.PD患者の姿勢改善には,注意を向けるべき身体部位を明確にし,認識しやすい他部位との関連づけを行いながら,修正を促す介入が有効である可能性がある.
【倫理的配慮、説明と同意】
発表に関して説明し,書面で同意を得た.
パーキンソン病 (PD)患者では,骨盤への注意が向かず,座位が不良となることがある.骨盤への注意と認識,修正方法の指導を行い,座位および食事動作に改善を認めた.症例を報告する.
【症例】
80歳代女性で罹病歴5年のPD患者.Unified Parkinson’s Disease Rating Scale Part 3は28点,Hoehn & Yahr StageはⅢと中等症.Mini-Mental State Examinationは29点で認知機能に問題はなく,Barthel Indexは85点で日常生活は概ね自立していた.主訴は「楽に食事がしたい」であり,観察上も座位不良と食事動作の困難が認められた.座位姿勢は骨盤後傾17.1度,左回旋11度で体幹左側屈し,重心は左後方に偏位していた.体幹の傾きは「左に傾いているんでしょ」と他覚的に認識していたが,骨盤の向きは「どこを向いているのかわからない」と訴え,主観的な認識が乏しかった.骨盤左回旋位を他動的に修正すると「右に向いている」「左足がしっかり着いていない」と訴えた.食事動作は,座位が安定せず「食べづらい」「食べこぼしが多い」と訴えた.
【病態解釈】
骨盤に対する注意が乏しく,さらに骨盤の方向の認識は自覚と他覚で差が生じているため,適切な姿勢修正が困難となっていると考えた.骨盤に注意を向け,自覚と他覚の差を修正することで,座位と食事動作が改善すると判断した.
【治療と経過】
他者の骨盤の回旋位と正中位の姿勢を提示し,骨盤の状態が座位に影響することを認識させた.さらに,症例の骨盤を左右に回旋し,違いを比較して誤差学習を促すことで,左回旋位を自覚し,修正が可能となった.しかし,骨盤の後傾が残存して座位の改善に至らなかったため,症例が自覚していた足底との関係を利用して前傾方向への修正を促した.介入の結果,骨盤後傾4.4度,左回旋は1.2度まで減少し,食事時の座位も安定した.主観的にも「前よりも食べやすい」と変化した.
【考察】
症例は,骨盤への注意と認識,修正方法の指導を通じて座位が安定し,食事動作が改善した.PD患者の姿勢改善には,注意を向けるべき身体部位を明確にし,認識しやすい他部位との関連づけを行いながら,修正を促す介入が有効である可能性がある.
【倫理的配慮、説明と同意】
発表に関して説明し,書面で同意を得た.
