講演情報

[P3-16]Pisa症候群のあるパーキンソン病患者の頸部側屈方向ごとの臨床的特徴

*髙橋 奈都美1、三上 恭平1、青木 良磨1、加茂 力2 (1. 医療法人社団神天会 登戸内科・脳神経クリニック リハビリテーション科、2. 医療法人社団神天会 登戸内科・脳神経クリニック 脳神経内科)
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【はじめに】
パーキンソン病 (PD)に見られる重度な側屈姿勢 (Pisa症候群)は生活の質に影響する重要な臨床症状であるが,他の臨床症状との関連性は明確になっていない.その要因として,Pisa症候群には,いくつかのサブタイプが含まれることが影響している可能性がある.これまでに骨盤の側方偏位の報告はあるが頸部側屈の報告はない.本報告では,Pisa症候群のPD患者を対象に,頸部側屈方向ごとの特徴を探索的に調査した結果を報告する.
【方法】2024年6月から12月に当院を受診し,定期評価を実施したPD患者(n=96)を対象とした.評価項目は,体幹側屈角度,頸部側屈角度,転倒の有無,Hoehn-Yahr重症度分類 (H-Y stage),体幹側屈角度は立位で足部中央と第5腰椎を結んだ線の延長線を基本軸,第5腰椎と第7頸椎を結んだ線を側屈軸として二軸間の角度とした.頸部側屈角度は第5腰椎と第7頸椎の延長線を基本軸,第7頸椎と頭頂を結んだ線を側屈軸として二軸間の角度とした.体幹側屈角度が10度以上の症例をPisa症候群と定義し,体幹側屈側と反対側に5度以上頸部が側屈している患者を対側側屈群,それ以外の患者を対側側屈なし群と定義した.転倒は初回評価時から半年以内に転倒した患者を転倒ありと定義した.解析は転倒の有無をカイ2乗検定,2群間の比較をマン・ホイットニーのU検定を用い,有意水準は5%とした.
【結果】Pisa症候群と分類されたのは96例中11例(11.5%)で (75.4±8.0歳,H-Y Stage 3.4±0.8,男性1例,女性10例),対側側屈群が6例,対側側屈なし群が5例だった.転倒したのは,対側側屈群1例 (16.6%),対側側屈なし群4例 (80%)で,対側側屈なし群が有意に多かった(p=0.036).しかし,H-Y stage,体幹側屈角度に差はなかった.対側側屈なし群のうち3例は5度以上体幹側屈側に頸部側屈しており,3例のうち2例は椅子からの転落,1例は食事中に口角からの流出を認めた.
【考察】対側側屈なし群は転倒率が高く,Pisa症候群のPDにおける頸部側屈が転倒に関与を示唆している.さらに対側側屈なし群の3例は座位姿勢の行為に影響しており,より日常生活における影響が大きい可能性がある.
【倫理的配慮、説明と同意】本報告は,研究データの使用について文書で説明し署名にて同意を得た.