講演情報
[P6-03]股関節に注意を向けた認知課題により運動イメージの変容から歩容が変化した片麻痺児の症例
*宮本 若奈1、木村 絵梨1、木村 正剛1 (1. 北海道こども発達研究センター)
【はじめに】
今回、股関節の外転・外旋を伴ったぶん回し歩行が著明な右片麻痺女児に対し、股関節の空間的運動制御課題を実施した。結果、運動イメージの変容と歩容の変化(改善)が見られたため報告する。
【症例紹介】
本症例は中学1年生女児、出生時に二相性脳症を発症し、その後、右片麻痺・軽度知的障害の診断を受けている。歩行時にはぶん回し歩行が顕著にみられており、知的面では、自己身体の動きを言語化することに困難さがある。また、介入者や気分によって課題への取り組み方が変化するなど、情緒の安定性にも波が見られた。
【病態解釈】
歩行中の自身の下肢運動に対する内的な観察が困難であり、遊脚期における下肢の適切な屈曲および股・膝関節の協調的な運動制御の調整する身体スキーマの形成が不十分であると考える。
【治療介入と結果】
4週間計12回の介入で、対象者に立位を取らせ、9マスボードを使用し左右で同じ数字にステップする股関節空間課題を実施した。動作前には左右の動作の類似点と差異の比較を求める股関節空間課題を実施した。介入前後の10m歩行評価において、歩行速度は0.74m/秒から0.83m/秒という結果であった。BBSに関しては44点から47点の向上が見られた。10m歩行中の躓き回数に関しては介入前後ともに0回であり変化はなかった。10m歩行・BBS等の再評価結果は大きな変化がないものの、随意的な股関節の運動制御が観察されるようになり、ぶん回し歩行が軽減した。また、本児への聴取では介入前には1日に5回以上は躓いていたが、介入後には「今日は一回も躓かなかった」と自己報告する日が増え、主観的改善が得られた。
【考察】
本課題を通して,遊脚期における股関節の左右比較や運動イメージの想起により内的な観察の苦手さが軽減したと考える。このことから、本症例のようなぶん回し歩行の改善には,自己身体の運動イメージ・股関節の左右比較課題が有効である可能性が示唆された。
【倫理的配慮(説明と同意)】
保護者にプライバシーの保護、学会発表について説明し同意を得た。
今回、股関節の外転・外旋を伴ったぶん回し歩行が著明な右片麻痺女児に対し、股関節の空間的運動制御課題を実施した。結果、運動イメージの変容と歩容の変化(改善)が見られたため報告する。
【症例紹介】
本症例は中学1年生女児、出生時に二相性脳症を発症し、その後、右片麻痺・軽度知的障害の診断を受けている。歩行時にはぶん回し歩行が顕著にみられており、知的面では、自己身体の動きを言語化することに困難さがある。また、介入者や気分によって課題への取り組み方が変化するなど、情緒の安定性にも波が見られた。
【病態解釈】
歩行中の自身の下肢運動に対する内的な観察が困難であり、遊脚期における下肢の適切な屈曲および股・膝関節の協調的な運動制御の調整する身体スキーマの形成が不十分であると考える。
【治療介入と結果】
4週間計12回の介入で、対象者に立位を取らせ、9マスボードを使用し左右で同じ数字にステップする股関節空間課題を実施した。動作前には左右の動作の類似点と差異の比較を求める股関節空間課題を実施した。介入前後の10m歩行評価において、歩行速度は0.74m/秒から0.83m/秒という結果であった。BBSに関しては44点から47点の向上が見られた。10m歩行中の躓き回数に関しては介入前後ともに0回であり変化はなかった。10m歩行・BBS等の再評価結果は大きな変化がないものの、随意的な股関節の運動制御が観察されるようになり、ぶん回し歩行が軽減した。また、本児への聴取では介入前には1日に5回以上は躓いていたが、介入後には「今日は一回も躓かなかった」と自己報告する日が増え、主観的改善が得られた。
【考察】
本課題を通して,遊脚期における股関節の左右比較や運動イメージの想起により内的な観察の苦手さが軽減したと考える。このことから、本症例のようなぶん回し歩行の改善には,自己身体の運動イメージ・股関節の左右比較課題が有効である可能性が示唆された。
【倫理的配慮(説明と同意)】
保護者にプライバシーの保護、学会発表について説明し同意を得た。
