講演情報
[P6-05]文字の崩れと処理速度が遅い児童に対して認知的な板書課題を行うことで思考と情緒に変化がみられた一症
*村上 愛1、髙橋 秀和1、木村 絵梨1 (1. 北海道子ども発達研究センター)
【はじめに】
「文字を綺麗に書けるようになりたい」と文字の崩れを自覚しているが、どのように書くといいのか方略が思い浮かばず気持ちが崩れ、小学校での板書に失敗経験を重ねていた児童に対して、認知的な板書課題で同時処理を促したことにより、思考の柔軟性と情緒面の変化がみられたため報告する。
【症例紹介】
本症例は8歳2か月の男児で診断名はない。放課後等デイでの様子では、自己の行動が予測と実行に差異があると、極度に不安や焦りを感じやすく、何も手につかなくなる。DN-CASの認知面はプラニング109、同時処理80、注意113、継次処理91、全検査97で特に同時処理が平均より下回っている。
【病態解釈】
文字の崩れは他者が読めるように丁寧な文字を書くことが必要であるが、本症例の書字行為のイメージは主として板書が多く、時間内で必要な文字数を書くことも意識しなければならない。丁寧さと時間を同時に意識すると思考がまとまらず、焦りや不安がイメージされてしまうが、認知的な板書課題を実施することで思考の柔軟性や情緒面が前向きに変化すると考えた。
【治療介入】
12週間24回介入で短文60~70文字程度の板書課題を実施した。問いは「ノートのマスからはみ出さないように丁寧に書いてください。」「何分だと余裕で書き終わりそうですか、予測してください。」とした。書き終えた後には丁寧に書けたか、どのくらい時間に余裕があったか実施経験に対して、再度自己で認知して成功体験を共有した。
【結果と考察】
介入前は60~70文字程度に対して丁寧に書いて7分かかったが、介入後は4分で板書可能と改善した。「できた」という成功体験を共有し積み重ねた結果、ポジティブなイメージも可能になり思考の柔軟性や情緒に変化がみられた。DN-CASではプランニング106、同時処理83、注意102、継次処理91、全検査94であった。課題遂行では改善がみられるが、認知的な評価上では不安定さがみられるため今後は注意機能の支援も必要と考える。
【倫理的配慮(説明と同意)】
保護者にプライバシーの保護について説明し同意を得た。
「文字を綺麗に書けるようになりたい」と文字の崩れを自覚しているが、どのように書くといいのか方略が思い浮かばず気持ちが崩れ、小学校での板書に失敗経験を重ねていた児童に対して、認知的な板書課題で同時処理を促したことにより、思考の柔軟性と情緒面の変化がみられたため報告する。
【症例紹介】
本症例は8歳2か月の男児で診断名はない。放課後等デイでの様子では、自己の行動が予測と実行に差異があると、極度に不安や焦りを感じやすく、何も手につかなくなる。DN-CASの認知面はプラニング109、同時処理80、注意113、継次処理91、全検査97で特に同時処理が平均より下回っている。
【病態解釈】
文字の崩れは他者が読めるように丁寧な文字を書くことが必要であるが、本症例の書字行為のイメージは主として板書が多く、時間内で必要な文字数を書くことも意識しなければならない。丁寧さと時間を同時に意識すると思考がまとまらず、焦りや不安がイメージされてしまうが、認知的な板書課題を実施することで思考の柔軟性や情緒面が前向きに変化すると考えた。
【治療介入】
12週間24回介入で短文60~70文字程度の板書課題を実施した。問いは「ノートのマスからはみ出さないように丁寧に書いてください。」「何分だと余裕で書き終わりそうですか、予測してください。」とした。書き終えた後には丁寧に書けたか、どのくらい時間に余裕があったか実施経験に対して、再度自己で認知して成功体験を共有した。
【結果と考察】
介入前は60~70文字程度に対して丁寧に書いて7分かかったが、介入後は4分で板書可能と改善した。「できた」という成功体験を共有し積み重ねた結果、ポジティブなイメージも可能になり思考の柔軟性や情緒に変化がみられた。DN-CASではプランニング106、同時処理83、注意102、継次処理91、全検査94であった。課題遂行では改善がみられるが、認知的な評価上では不安定さがみられるため今後は注意機能の支援も必要と考える。
【倫理的配慮(説明と同意)】
保護者にプライバシーの保護について説明し同意を得た。
