講演情報

[経・社-S-2]学校体育のレーゾンデートルを「再び」問う

*松田 恵示1,2 (1. 神戸親和大学、2. 立教大学)
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<演者略歴>
大手前女子大学、岡山大学、東京学芸大学を経て、現在、神戸親和大学、立教大学に在職。専門は、スポーツ社会学、文化社会学。教育政策、教員養成政策、体育科教育の領域においても実践的な研究と活動を行っている。
「体育」と「学校」いう教育的営みや制度の社会的評価は、常に、背景となる社会の状況との関係でなされてきた。第二次世界大戦後の日本、高度経済成長期の日本、成熟期から「失われた30年」を経た日本、そして高度情報化社会と少子高齢社会の日本など、概観すれば、そうした社会背景、ないしは広く社会構造の変化に応じて「体育」や「学校」という概念とその在り方が結局のところ結晶化している。他方で、民間の教育研究団体や学術研究が現場において切磋琢磨する実践開発から、行政主導のもとの実践開発へと、大きくその発展の仕方がトレンドとして変化しつつある。また、人工知能に代表される社会構造の抜本的な変化を予見させるテクノロジーの日常化や科学技術の現代的進歩は、「体育」や「授業」という営みをより脱神格化させ民主化する反面、経験として蓄積されてきた価値や制度が問い直されないままに過去のものへと思考停止の中でオミットされることも起こっている。社会/教育/学校というベクトルではなく、遊び/スポーツ/ウエルビーイングというベクトルの中で「体育」の価値と制度を問い直したとすれば、今、有用な視座は多彩な「壁」を超える思考とか、「循環」という観点からなされる複眼性や動的認識の中に見出すことができるのではないか。そしてそれは、新しい意味での身体、あるいは「現代的な身体」の問題をめぐることにならざるをえないのではないか。より具体のレベルで、当日考えてみたい。

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