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[スポーツ文化-B-03]スポーツ場面におけるライフスキル形成環境の可視化(心)共起ネットワークによる関与人物の検討

*山田 弥生子1 (1. 追手門学院大学)
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ライフスキル(LS)は「日常生活で生じるさまざまな問題や要求に対して,建設的かつ効果的に対処するために必要な能力」(WHO, 1997)である。スポーツを通じた LS 形成では環境,とりわけ指導者の影響が大きいとされるが,LS は複合的概念であり,LS 教育では重点スキルを絞った方が効果的と指摘されている。したがって,LS を構成する各要素ごとに形成へ寄与する人物を把握することが不可欠であるが,現状では十分に検討されていない。本研究は,LS の構成要素別に,その形成に寄与する人物を同定することを目的とした。関西のスポーツ系大学に在籍する学生アスリート 180 名(男性 105 名・女性 75 名,19.73 ± 0.54 歳)を対象に,2020 年 10 月に第1段階調査として大学生アスリート用ライフスキル評価尺度(島本ほか,2013)の回答を得た。続く 2020 年 11 月〜2021 年 2 月には第2段階調査として,同尺度が想定する 10 因子(ストレスマネジメント,目標設定,考える力,感謝する心,コミュニケーション,礼儀・マナー,最善の努力,責任ある行動,謙虚な心,体調管理)に関する具体的エピソードを自由記述形式で収集した。両調査はいずれもオンラインで実施した。得られたテキストを KH Coder で形態素解析し,出現回数 20 以上かつ Jaccard 係数 0.1 以上を条件に因子別の共起ネットワーク分析を実施した。分析の結果,個人内スキル(目標設定,最善の努力,ストレスマネジメント,体調管理,考える力,謙虚な心)は「指導者」と強く共起し,対人スキル(コミュニケーション,礼儀・マナー,感謝する心,責任ある行動)は「チームメイト」「友人」「先輩」と結び付いた。以上より,スポーツを通じた LS 教育では,個人内スキルには指導者による明示的指導を,対人スキルにはピア学習や集団活動の設計を重視することが効果的であることが示唆された。

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