講演情報
[競技スポーツ-B-02]スポーツチームで実施するメンタルヘルスリテラシー教育プログラムの開発(心)スポーツ現場へのメンタルヘルス教育導入に向けて
*小塩 靖崇1,2 (1. 国立精神・神経医療研究センター、2. 東京大学大学院総合文化研究科)
【目的】アスリートや指導者に対するメンタルヘルスサポートの必要性が高まる一方で、体系的な教育機会の不足が課題である。本研究では、IOCが公開した「Mental Health in Elite Athletes Toolkit」日本語版を活用し、国内スポーツチームにおいて実施可能なメンタルヘルスリテラシー教育プログラムを開発・導入し、その効果を探索的に検討することを目的とした。 【方法】スポーツチームを対象に、メンタルヘルス研修を受けたアスリートとメンタルヘルス専門家が協働で訪問型セッションを実施した。プログラムは「試合時のメンタルの整え方」「心の健康とパフォーマンス」「セルフケアと相談行動の促進」などで構成し、視聴覚教材も併用した。事前・事後・フォローアップにおいて、競争的環境における心理的安全性(SPSI)、メンタルヘルスリテラシー(MHL)、相談意向などを効果指標とした。 【結果】本プログラムは、アスリートが自身の心の状態を言語化し、相談行動を促すことを目的に構成された。現時点では11名を対象とした暫定的な事前・事後比較を実施し、SPSIスコアは22.6から29.5(p < 0.001)、MHLスコアは30.1から36.6(p < 0.001)へと有意な向上が確認された。これらの結果は初期データに基づくものであり、発表当日には、対象者数を増やした上で改めて結果を報告する予定である。 【結論】本プログラムは、アスリート主体の学びを促す実践的教育モデルとしての有効性を示唆している。今後は、対象チームや参加者の拡大、指導者を含めた包括的な展開、長期効果の検証が課題であり、より大規模かつ継続的な実践と検証を通じて、本プログラムの有用性と汎用性を明らかにする必要がある。
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