講演情報

[学校保健体育-A-05]長距離走のICTを活用した集団的競争教材試案(教)チームパシュート型ペース走について

*近藤 雄一郎1 (1. 福井大学)
PDFダウンロードPDFダウンロード
長距離走は体育における子どもたちが嫌う代表的な種目の一つである。そこで、本研究では「勝敗を競う楽しさや喜び」、皆が平等に学習を行ったうえで競争をするための「知識・技術」、勝敗を競う楽しさや喜びを得る過程で生じる「他者の受容や尊重」を学習内容とする長距離走教材を開発することを目的とした。研究方法として、まずスポーツ及び体育における競争の位置づけについて整理する。次に、長距離走の授業実践に関する先行研究について概観する。これらを踏まえ、研究目的に基づく長距離走教材の開発を試みる。研究の結果、まずスポーツにおける競争性については、競争は間接的・平和的でルールに規制されるものであり、他者や社会に対して利益となる社会的功利性の側面も有している。また、スポーツを運動材として扱う体育における競争性については、競争や比較による客観的結果から何を学び、次の努力への原動力としていくか、いかに自己完成に結びつけていくかという観点が重要になり、教材では全ての学習者に勝利する機会を平等に保障することが可能であることが求められる。そして、長距離走教材において競争性を位置づけていくには、自己に適した一定のペースでの走行を習得した上で、競争性を積極的に位置づけていくことで、学習者の長距離走授業に対する楽しさにより繋げていくことが可能となること、相互作用の変化に気づき、時々刻々と変化する環境(他者)に柔軟に対応する応答的身体を生み出すこと、個人が成果を得る過程において学習者間の連携や協力が生じることが考えられる。また、長距離走教材における競争の形態としては、学習者間の優劣が現前しにくく、また競争に向けた準備の過程でも集団内での協同が生まれやすくなるため、個人間での競争のみならず、集団による競争の観点も必要である。これらのことから、本研究では、チームパシュート型ペース走の教材試案について提起する。

コメント

コメントの閲覧・投稿にはログインが必要です。ログイン