講演情報
[学校保健体育-A-19]滋賀県大津市における運動部活動の地域移行・地域展開に関するグランドデザイン(経,教)政策科学的アプローチによる試論
*大西 祐司1、黒澤 寛己1 (1. びわこ成蹊スポーツ大学)
部活動の地域移行が告示されてから3年が経過した。2026年には、スポーツ庁からの補助金が終了する見込みであり、各自治体は地域での自走・持続可能な運営体制の構築を迫られている。これまで、モデル事業の検証や学校からの部活動の切り離しといった多様な取り組みが進められてきたが、それらは生徒・保護者、そして長年部活動を担ってきた教員の意向をどの程度反映していたのだろうか。本研究はこの問題意識に基づき、政策科学の視点から運動部活動の地域移行に関するグランドデザインを構想し、自走・持続可能な枠組みの構築を目指す。研究課題1では、運動部活動の地域移行における政策プロセスを明らかにし、その結果として描かれるべきグランドデザインのあり方を検討した。研究課題2では、指導者確保が喫緊の課題となる中、有力候補である教員の意識と、彼らが求める条件について調査を行った。研究方法はコンテクスト・マップ法を用い、以下の3点に基づいて分析を行った。①大津市教育委員会による「部活動の実態調査」の結果をもとに、運動部活動の規模を大・中・小に分類し、地図上に可視化した。②各校の施設条件をGoogleマップや学校ホームページから把握し、稼働状況と過密度を推定した。③通学手段、隣接学区の部活動状況、周辺スポーツ施設の有無、外部指導者の登用状況などを総合的に考慮した。その結果、地域や学校の実情に応じて、巡回型、拠点型、派遣型、委託型、合同型の5つのモデルを適切に割り当て、あるいは組み合わせることで、自走・持続可能な運営が可能であることが確認された。ただし、すべての運営を民間に委託するのではなく、教育委員会が主導権を握ることに多くの利点があることも明らかとなった。研究課題2では、大津市立中学校18校に勤務する教員約570名を対象にアンケートを実施し、221名(38.8%)からの回答を得た。詳細については、当日報告する。
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