講演情報

[生涯スポーツ-B-03]当事者の精神障害者サッカー競技参入および継続的な参加を促す要因の検討(ア)

*秋本 成晴1 (1. 平成国際大学)
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東京パラリンピックや東京デフリンピックを初め、近年障害者スポーツへの注目が集まっている。障害者にとってスポーツは多様な効用をもたらすが、精神障害(e.g. 統合失調症, うつ病)のある者にとってスポーツ活動は、気分の高揚や不安の改善といった運動療法的効果が見込めるだけでなく、スポーツを通じて当事者同士の交流が促され、人間関係や体調管理、就労に関して互いに学び合うことで、日常生活全体の質の向上が見込める点でも期待が高まっている。ところが、国内での精神障害者スポーツの振興状況は、他の2障害(身体障害・知的障害)と比べて大幅に遅れているため、当事者の精神障害者スポーツ参入や、継続的な参加を阻んでいる要因について明らかにしていくことが喫緊の課題となっている。
そこで本研究では、精神障害者スポーツの中でも最も人気のあるソーシャルフットボール(以下、「SF」)に注目し、当事者の精神障害者スポーツ参入や継続的な参加を促進・阻害している要因を明らかにすることを目的とした。そこで本研究では、トップ選手とグラスルーツの両方の選手が所属するチームAの11名の選手を対象にインタビュー調査を行った。
調査の結果、SFに関わる以前に、自分以外の精神障害者との何らかの接点があった者は、SF参入における心理的障壁が下がっていることが明らかになったほか、参入後にチーム内で役割が与えられることが当事者の当該スポーツの継続を容易にしていることが示された。一方で、近年のSF競技の高度化に伴い、グラスルーツ層が試合等で活躍できる場面が減っており、結果的に継続を阻害する要因となっていることも指摘された。同様に、競技の高度化に伴い、練習の強度が上がっていることや、練習の事前準備への負担が増えており、結果的に病状の悪化並びにSF継続を困難にしているケースも示された。

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