講演情報

[生涯スポーツ-B-04]スポーツサービスにおける価値共破壊(経)車椅子ハンドボールクラブKnockü SCを事例として

*宇野 博武1,2、岡田 美優3 (1. 武庫川女子大学、2. 神戸大学大学院経営学研究科博士後期課程、3. 早稲田大学大学院スポーツ科学研究科博士後期過程)
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顧客が価値創造プロセスに大きく関与するスポーツサービスでは、不確実性への柔軟な対応が重要と指摘されてきた(宇野・山口,2025)。ところが、先行研究では、柔軟性の発揮が却ってネガティブな事業パフォーマンスをもたらす可能性が示唆されている(Arias-Aranda,2003)。本研究の目的は、サービス・マーケティング分野における価値共破壊研究を参照しながら、スポーツサービスをめぐるどのような相互作用が諸アクターのウェルビーイングの低下をもたらすのか、あるいはウェルビーイングの低下がどのように経験されるのかについて理解を深めることである。
 価値共破壊(Value Co-Destruction)とは「サービスシステム間の相互作用プロセスであり、その結果、少なくとも一方のシステムのウェルビーイングが低下するもの」(Plé and Chumpitaz Cáceres,2010,p.431)と定義される。ウェルビーイングの低下は、イルビーイング(ill-being)の概念ととともに、個人的または集団的に経験される物質的・身体的・心理的・社会的な害として論じられてきた(Gummerus et al.,2024)。なお、価値共破壊は、資源の意図的もしくは偶発的な誤用(misuse)によって生じるとされる。
 以上を感受概念として本研究では、車椅子ハンドボールクラブKnockü SCを対象とした事例研究を行う。Knockü SCは、エリアサービス(体育館利用)において、「身体障害者用駐車場に荷物が置かれている」などの価値共破壊的なプロセスを経験してきた。方法論的には構成主義的グラウンデッド・セオリー(constructivist grounded theory)に依拠し(シャーマズ,2020)、「研究者の持ち込む観念からこぼれ落ちる、生きられた世界の場」(松嶋ほか,2015,p.47)へと接近することを試みる。

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