講演情報

[生涯スポーツ-SB-1]競技別パスウェイモデルの構築とその意義

*松井 陽子1 (1. 仙台大学)
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<演者略歴>
東京都港区出身。早稲田大学大学院スポーツ科学学術院修了。フリースタイルスキーエアリアル種目全日本選手権優勝、日本代表としてワールドカップ等を転戦。引退後、日本代表コーチを経て、JOC、JSCにて主にタレント発掘・育成事業、アスリート育成パスウェイの構築支援事業を担当。2024年度より仙台大学に着任。
「パスウェイ」という言葉が我が国のスポーツ政策の文脈で初めて登場したのは2016年にスポーツ庁から発表された「競技力強化のための今後の支援方針(鈴木プラン)」である。同年には日本スポーツ振興センター(JSC)が「アスリートパスウェイの戦略的支援事業」を開始し、2019年衣笠らが「日本版FTEM」を開発、発表した。FTEMはFoundation、 Talent、 Elite、 Masteryの頭文字をとったもので、オーストラリア国立スポーツ研究所で開発されたアスリート育成パスウェイの枠組みであり、2013年に発表された。このFTEMフレームワークでは人がスポーツの土台となる遊び・動作に触れるところからトップアスリートに至る過程を10段階に分けているが、日本版FTEMでは日本の文化的・社会的背景を考慮し、11段階に分けられた。現在この日本版FTEMを活用し、アスリートがスポ―ツをしていく中で経験するであろう事柄を競技レベル(段階)によって整理しつつ、各段階において必要な育成環境やプログラム、次の段階に進むためのシステム、コーチや関係者の役割などを明確化し、それぞれのスポーツにおけるアスリート育成パスウェイ(競技別パスウェイモデル)を関係者の共通認識として共有する活動が行われている。この競技別パスウェイモデルの作成にあたっては、トップコーチだけでなく、例えば地域のジュニアコーチや医科学スタッフ、競技団体の事務局など様々な関係者の意見を統合する。競技別パスウェイモデルは、そのスポーツを「する人」の指標となるだけでなく、「ささえる人」の共通言語を構築し、連携・協働を促すことで、「する人」が歩むアスリート育成パスウェイをよりスムーズに、歩きやすくする。JSCでは、スポーツを実施するねらいには大きく分けて「身体活動/活動的な生活習慣」、「スポーツへの参加」、「国際競技力の強化」の3つがあると考えられるが、それぞれのねらいに違いはあっても、一つのアスリート育成パスウェイによってつながっている、としている。

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