講演情報

[スポーツ文化-B-09]スポーツ・ハラスメント概念設定の必要性(コ)

*秋元 香穂1、岡出 美則2 (1. 日本体育大学大学院、2. 日本体育大学)
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我が国では、スポーツに関連した暴力問題を適切に表現する際には、厚生労働省の職場におけるパワー・ハラスメントやセクシュアル・ハラスメント等が引用されることが多い。そのため、スポーツに関連した多様な暴力の実態把握やその派生機序が明らかにされにくいまま今日に至っていると考えられる。しかし、スポーツの価値を高めるスポーツ関係者の取り組みの中で、日本スポーツ協会がスポーツ・ハラスメントの定義を明示するようになっている。しかし、同概念がスポーツに関わるハラスメントの実態把握にどのような効果を生み出しているのかは定かではない。そこで、本研究では、日本スポーツ協会のスポーツ・ハラスメントの概念を踏まえ、学術研究で報告されている我が国のスポーツ・ハラスメントの実態把握を試みることを目的とした。そのため本研究では、スポーツ・ハラスメントをキーワードとして設定し、J-stageとCiNiiを使用して学術誌で確認できるスポーツに関連した暴力の実態を把握することとした。その際に学術誌においてスポーツ・ハラスメントが扱われた始めた時期を把握するため、論文の出版時期を限定せずに対象文献を抽出した。分析に際しては、重複文献並びに本文がないもの、趣旨から外れるものは対象外とした。また、対象文献に記された実態の分析に際しては被害者、被害時期、加害者等の観点を設定した。その結果、調査対象数としては親が多くみられた。また被害時期については中学生が最も多く、加害者については他の部員が最も件数が多かった。またが多くを占めた。この結果から、現状では指導者以外が加害者になっているケースがみられるにもかかわらず、スポーツ・ハラスメントに関する研究は指導者(加害者)とスポーツ競技者(被害者)という枠組みで展開されていることが多いことが示唆された。このことは、スポーツ・ハラスメントの概念検討の必要性示唆している。

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