講演情報

[競技スポーツ-A-12]空手組手競技大学生競技者を対象にした作戦意識とパフォーマンスの関係(測,コ)

*大徳 紘也1、西山 哲成1、大石 健二1 (1. 日本体育大学)
PDFダウンロードPDFダウンロード
スポーツのコーチング実践において、戦略・作戦・戦術という言葉が広く使用されている。スポーツにおける戦術や作戦の意味について、「1チームが各試合において勝利の達成を志向し,攻撃,防御の戦術行動を,意図的,計画的に展開させる仕方,進め方」と示されている(稲垣ら,1985)。勝利を獲得するためには攻撃、防御技術の精度を高めるだけではなく、技術の組み合わせを考えた事前の作戦計画が重要と考えられる。本研究では空手組手競技における事前の作戦意識と試合で実行されたパフォーマンス内容の一致と不一致の様態を調査し、作戦立案に関するコーチング実践に有効な知見獲得を目的とした。分析対象は大学空手道部に所属する組手競技者15名とした。公式大会前日に組手競技の作戦に関する意識調査をオンラインアンケートにより実施した。質問内容は試合局面別に意識する戦術項目とし、試合序盤、中盤、終盤の3局面について47項目を設定した。回答は5件法を用いて行い、意識の度合いについて回答を求めた。試合内容の分析は大会公式ライブ配信映像を用いて行い、作戦意識の調査において意識度の高い項目であった得失点数、先取点獲得数、仕掛技数、試合残り時間帯に関連する7項目を分析した。本研究結果、試合序盤の先取点獲得について、意識度5の回答が60.0%以上意識される結果であったが、勝敗に関係なく先取点獲得は11.0%未満と低い結果であった。試合中盤並びに終盤の失点防止について、意識度5の回答がそれぞれ66.7%以上意識する結果が確認され、勝利時における失点が敗戦時よりも25.5~29.8%%低い結果であった。作戦意識とパフォーマンス分析の結果を相互確認することにより、作戦に対するパフォーマンススキルの達成度を客観的に評価できることが考えられ、選手の特性に合わせた作戦又はパフォーマンスへのコーチング実践のための情報となることが考えられた。

コメント

コメントの閲覧・投稿にはログインが必要です。ログイン