講演情報
[競技スポーツ-B-07]福岡県タレント発掘事業からトップアスリートに至った選手におけるアスリート選抜時の要件と過去の競技経験の特徴(コ)
*山口 真未1,2、小野寺 峻一1,2、萩原 正大1,2、原村 未来3、山下 修平1,2、友利 杏奈1,2、白井 克佳1,2 (1. 日本スポーツ振興センターハイパフォーマンススポーツセンター、2. 国立スポーツ科学センター、3. 明治学院大学)
【背景】福岡県タレント発掘事業は、国内最高峰の国民スポーツ大会への都道府県代表選手(国スポアスリート)や日本代表選手(エリートアスリート)を輩出しているものの、このようなトップアスリートがタレント発掘事業時にどのような要件で選抜されたのか、またどのような競技を経験してきたのか、検討された研究はない。そこで、アスリート選抜時の選考要件と過去の競技経験が、トップアスリートに至った競技やその到達レベル(国スポアスリート vs エリートアスリート)にどのような影響を及ぼしていたか明らかにすることを目的とした。【方法】事業参加者382名(男子182名、女子200名)の内、2024年度時点でエリートアスリートに到達した30名(男子6名、女子24名)を対象に、①発掘時の選考要件と最終的に専門化した競技種目との関連性、②小中学生期の競技経験種目と最終的に専門化した競技種目までの競技転向の傾向を検討した。【結果】国スポアスリートとエリートアスリートの選考要件は、「捕捉」(しっぽ取りゲームのテスター評価)が最多であった。一方で事業参加者全体では、「精査」(選考委員内での議論を踏まえた選抜方法)で選抜された選手が最多であった。エリートアスリートの多くは2種目以上の他競技経験を有し、男子は小中期、女子は中高期に専門化後の競技を開始する傾向であった。【考察】「捕捉」は、複数の運動能力が反映された「身体の動き」を競技関係者や指導者が総合的に評価した指標であり、選抜時の有効な指標の1つになる可能性が示唆された。「精査」は、単純に定量化される運動能力だけでは選抜されない受験者を取りこぼさない戦略であるものの、トップアスリートに至った事例は少なかった。多様な運動経験の重要性や性別による競技開始時期の違いも確認されたが、詳細については更なる研究が必要である。
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