講演情報

[学校保健体育-A-09]大阪府における体力水準の高いA市教育委員会の取り組み(教)子どもの体力向上に向けた施策の実態

*山本 聖也1、藤浪 大輔2、小林 博隆1 (1. 大阪体育大学、2. 大阪体育大学大学院)
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緒言・目的
 子どもの体力向上のために、学校現場と教育委員会が連携し体力向上施策を推進することが求められている。これまで、子どもの体力向上のための取り組みについて都道府県教育委員会に焦点を当てた研究(山田ら、 2020;黒岩ら、 2024)はあるものの、市町村教育委員会の取り組みに焦点を当てた研究は見当たらない。そこで本研究では、大阪府において高い体力水準を示すA市教育委員会の担当者へのインタビュー調査を通じて、具体的な施策内容と成功要因を特定し、今後の大阪府全体の体力向上施策の改善に資する示唆を得ることを目的とした。
方法
 対象は大阪府A市教育委員会子どもの体力向上に関わる担当者2名であり、半構造化インタビュー調査を対面で行った。分析では調査で得られた結果について、体育科教育学を専門とする大学教員1名と大学院生1名で議論し解釈を行った。さらに、インタビュー調査の内容および結果の解釈について齟齬がないか、担当者とメンバーチェックを行い、内容に齟齬のないことを確認した。
結果・考察
 A市では、2011年から二小一中の中学校区ごとに「体力推進計画書」を作成しており、計画書を中心とした長期的な施策を展開していた。また、教育委員会は計画の振り返りや今後の取り組みについての研修だけでなく、管理職に対しても体力向上研修を行なっていることが明らかになった。さらに、A市は体育専科の配置を行っていないが、中学校の保健体育科教員が中心となって、小中学校間の往来や出前授業を実施するなど、体育専科の配置がなくとも小学校体育の専門性を高める工夫がされていた。これらの知見は、都道府県教育委員会に焦点を当てた分析では捉えきれない市町村独自の工夫であり、今後の大阪府における体力向上施策を検討する上で重要な示唆を与えると考えられる。

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