講演情報

[学校保健体育-A-15]体験型防災キャンプが体育系大学生の防災意識に与える教育的効果(生,介)自衛隊駐屯地での実践を通して

*伊藤 三千雄1、浦 佑大1、坂本 康輔1、清田 美紀1、柴山 慧2、早田 剛1、三浦 孝仁1 (1. IPU環太平洋大学、2. 福山平成大学)
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【研究の背景】日本は地震、台風、豪雨、大雪など、多様な自然災害のリスクに常にさらされている。このような状況に対処するためには、科学的かつ合理的な防災・減災対策を習得することが不可欠である。特に体育・スポーツを学ぶ学生は、その身体性や集団的特徴から、自らや身近な人々だけでなく、社会的により弱い立場の者を助ける心性を備え、それを実践可能とする最低限の身体能力・技能を有することが求められる。さらに近年、防災・減災力を高める学習方法として、アウトドアアクティビティが注目されている。その中でも、防災キャンプは、被災時の生活に役立つ体験的な学びを得る手段として考えられた教育手法であり、文部科学省もその推進を図っている。
【目的】 本研究は、体育系大学生を対象とした体験型防災キャンプが防災意識に及ぼす教育的効果を検討することを目的とした。
【方法】対象はK大学体育学科に所属する学生16名であり、自衛隊駐屯地において実施された2日間の防災キャンプに参加した。プログラム内容は、応急救護、天幕設営、行進訓練等の実践的活動で構成された。防災意識の変容を測定するために、防災意識尺度を用いて事前・事後の意識調査を実施し、さらに自由記述を含むアンケート調査を行った。
【結果】防災意識尺度の分析により、「被災状況の想像力」および「他者指向性」において有意な向上が認められた(p<0.05)。また、アンケート結果では、参加者の95%以上が本プログラムに対して「満足」と回答し、特に応急救護訓練に関しては全員が「有益であった」と評価した。
【考察】これらの結果より、実践的活動を中心とした体験型防災学習が大学生の防災意識の向上に有効であることが示唆された。今後は、防災意識の向上を具体的な行動力へとつなげるための教育プログラムの構築と、地域や関係機関との連携による継続的な防災教育の展開が課題である。

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