講演情報

[12人-口-13]障害者の身体活動機会を創出するNPOの運営戦略須磨ユニバーサルビーチプロジェクトの事例から

*栗原 直也1、森 克己1、山田 理恵2 (1. 鹿屋体育大学、2. 鹿児島大学稲盛アカデミー)
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障害者のスポーツ参加に関して、スポーツ庁が発表した第3期スポーツ基本計画によると、障害者のスポーツ実施率は増加傾向にあるが相対的に低いことが示されている。また、障害者スポーツの普及に関連して、地域において障害者にスポーツへの参加をどのように促すかが課題であることが指摘されている(藤田, 2015)。
 兵庫県にある須磨ユニバーサルビーチプロジェクト(以下SUBPと略)は、障害者がスポーツに親しむ機会を醸成するためのプロジェクトとして注目を集めている。SUBPは、障害や年齢、性別を問わず、安全・安心に海を楽しむことができるように整備されたユニバーサルビーチを提供するNPO法人であり、そのノウハウを使った姉妹プログラムの全国展開に取り組んでいる。 
 ビーチを訪れることによって、人は運動の動機付けが高まり、ライフスパン全体に及ぶ身体活動への参加促進が起こると考えられている (Finlay et al., 2015) 。しかし、障害者がビーチを訪れるためには重大な障壁が存在し、障害や高齢が原因となり、ビーチでしたいアクティビティができていないということが明らかにされている (Job et al., 2023) 。また、障害者のスポーツ参加を促す機会を提供するために、持続可能な組織を構築する必要性が高まっているなかで、運営戦略やボランティアの不足などの課題が指摘されている (Weerawardena et al., 2010) 。
 そこで本研究では、SUBPに着目し、その正規スタッフおよびボランティアスタッフ、参加者を対象に、対面またはオンラインによる半構造化インタビューを実施し、SUBPのインクルーシブな活動が持続的に展開されている背景には、どのような要因や仕組みが働いているのかについて言及する。さらに、ユニバーサルビーチの全国的な普及に向けた課題と展望について考察する。

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