講演情報

[11教-口-06]小学校の体育授業における準備運動に運動遊びを取り入れた効果②投と跳の動きの質的変化に着目して

*窪 康之1、佐藤 善人2、佐々木 玲子3 (1. 国立スポーツ科学センター、2. 椙山女学園大学、3. 慶応義塾大学)
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本研究では、体育授業における準備運動に運動遊びを取り入れることで児童の投能力と跳能力に変化がみられるかどうかを調査した。
研究対象は東京都内H小学校4年生102名であった。2024年10月から11月にかけて、計9回の体育授業の準備運動時に、投と跳に関連する運動遊びを実施した。実施した運動遊びは、(公財)日本スポーツ協会がその普及を推進する「JSPO-ACP」のガイドブックで紹介されている内容から選定した。指導者は、教員免許状を持つ大学院生を中心とした学生であったが、事前に実施する内容を検討し、担任教師に報告して進めた。なお指導の際、特別に投げ方や跳び方の指導は実施しなかった。運動遊びの効果を検討するため、実践期間の前後にソフトボール投げと立ち幅跳びを測定し、それぞれの成果(投距離と跳距離)と動きの質について比較した。動きの質は、前掲のガイドブックに示された評価観点に基づき、ソフトボール投げについては、動き全体の力強さのほか、①ステップ脚の踏み出し、②体幹のひねり、③体重移動、④投げ腕のムチ動作を評価した。立ち幅跳びについては、動き全体の力強さのほか、①準備局面における下肢の屈曲、②腕振り、③離地時の前傾、④着地時の足の姿勢を評価した。
実践前後を比較した結果、ソフトボール投げでは、投距離は実践前における下位群の児童で向上する傾向にあり、動きの質は、体幹のひねりと投球腕のムチ動作が不十分であった児童ほど実践後に向上する傾向にあった。立ち幅跳びでは、跳距離は全体、実践前の下位群、女子児童で向上する傾向にあり、動きの質は、腕振りと離地時の前傾が不十分であった児童ほど実践後に向上する傾向にあった。
これらのことから、体育授業における準備運動時の運動遊びが児童の投能力と跳能力に影響を与えることが示された。

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