講演情報
[08測-口-05]高齢者ドライバーにおける認知機能と運転自信度が主観的な運転自己評価に及ぼす影響
*山次 俊介1、山田 孝禎1、杉浦 宏季2、横谷 智久2 (1. 福井大学、2. 福井工業大学)
高齢者ドライバーの簡易な運転技能評価として主観に基づく診断票が利用されている。我々はハンドル操作とアクセル・ブレーキ操作による制動を踏まえたDual-task test(DT)を開発し、高齢者ドライバーの安全運転能力の評価を試みているが、DTパフォーマンスと高齢者の自己運転評価との間に認知機能の低下に伴う過大評価によるバイアスが窺えた。本研究では65~90歳の高齢者ドライバー385名(男性111名)を対象として認知機能と運転自信度によって自己運転評価に及ぼす影響について、実測値及び主観的身体機能との関連性を踏まえて検証することを目的とした。認知機能(基準値:MoCA-J得点21点)と運転自信度(安全運転に自信がある/ない)でクロスカテゴリを作成した(認知機能/運転自信度:低/有群、低/無群、高/有群、高/無群)。各群における男性の割合はそれぞれ33.3%、20.0%、26.6%、28.1%であった。 「運転中に危険を感じたか」、「周囲から運転を控えるよう忠告されたか」、「過去3年間に交通事故を経験したか」はいずれも低/有群が「いいえ」と回答する割合が高く、低/無群と高/無群より有意に高かった。また、運転能力診断12項目の得点について年齢を共変量とした群と性の二要因分散分析の結果、低/有群と高/有群が低/無群と高/無群より有意に優れていた。また、主観的な身体機能としてADL、易転倒性、LSAも同様に低/有群と高/有群が有意に優れていた。一方、握力、開眼片足立ち、10m歩行、逆順ステップ、敏捷性ステップの実測値項目の主成分得点及びハンドル操作とアクセル・ブレーキ操作による制動を踏まえたDual-task test(DT)では、低/有群と低/無群が高/有群と高/無群より有意に劣っていた。以上より、低/有群は自信の運転を過大評価する傾向にあること、及び男性にその傾向が多いことが窺えた。
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