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[05バ-口-04]系の運動方程式を活用した陸上ハンマー投げにおける自励系加速メカニズム解明の試み

*小池 関也1 (1. 筑波大学)
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身体は多くの節が関節により連結された多体リンク機構であり、その動力学的な特性は極めて複雑である。ここで、スポーツ動作は、全身による高速・高加速な動作のため、その動作生成のしくみは複雑となり、一流の競技者がどのようなしくみを活用して、パフォーマンスを向上させているかを明らかにすることは急務の課題である。この課題に対して、対象とする系の運動方程式を活用した順動力学的貢献分析を行うと、パフォーマンスを表す物理量の生成に、どのような項目がどのように寄与しているかを詳細に明らかにできるため、動作生成のしくみ理解における大きな助けとなる。そこで、本研究では、未だ明らかにされていない陸上競技のハンマー投げ動作の自励系に関する動力学的な加速メカニズムについての理解のために、簡易モデルを用いたしくみ分析の結果についてより詳細な検討を行うことを目的とした。 従来、上肢ーハンマー連成系を空間3リンク機構として3次元モデル化した対象に関する順動力学的貢献分析により、ターン局面におけるハンマーヘッドの加速には、遠心力やコリオリ力よりなる運動依存項の寄与が大きなこと、さらには、この運動依存項の生成要因を明らかにしたとしても、関節トルク、近位端加速度入力の寄与は大きくなく、一般化セグメント速度の初期状態量による自励系としての寄与が大きいことなどが分かっている(Koike et, al., IUTAM2023)。しかしながらこの自励系特有の加速のしくみについては、空間機構の対象の複雑さから、いまだ明らかにされてはいない。そこで本研究では、この自励系の動力学的な特徴を抽出することを試みるために、ターン局面における上肢ーハンマー系を、傾斜平面上に拘束された平面3リンクモデルによって簡易化した対象に対して、順動力学的貢献分析を行うこととした。これにより、自励系における加速メカニズムを明らかにすることを試みている。

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