講演情報
[05バ-口-06]高密度表面筋電図法を用いた外側広筋のMUNE算出における電極選択の影響
*井川 快斗1、渡邊 航平1 (1. 中京大学)
背景:大腿四頭筋は加齢や不活動により著しく筋力が低下し、その一要因として運動単位(MU)数の減少が挙げられる。したがって、大腿四頭筋のMU数の評価は筋力低下の理解に重要である。大腿四頭筋を構成する外側広筋(VL)のMU数推定(MUNE)は筋内筋電図による侵襲的手法で算出され、方法論的制約がある。高密度表面筋電図(HDsEMG)法による非侵襲的なMUNE算出は代替手法となり得るが、VLにおける手法は確立されていない。目的:HDsEMGによるMUNE算出に用いる電極数や位置の違いがMUNEの精度に及ぼす影響を検討する。方法:男性3名(41±8歳)のVLに64個の多点電極を装着し、大腿神経刺激による複合筋活動電位(CMAP)、25%MVC中のHDsEMGから単一運動単位活動電位(sMUAP)を記録した。1〜64個の電極数の組み合わせをそれぞれ最大10^6通りランダムに抽出し、CMAPおよびsMUAPからMUNEを算出した。MUNEの精度はCMAPとsMUAPの電極間の残差分散(RV)およびMUNEの変動係数(CV)で評価した。選択電極の座標の共分散行列の対角成分和(位置情報)とRVの関連を相関分析により評価した。結果:RVは電極数による主効果があり、電極数間で有意差はなかった。電極の位置情報とRVは全電極数および全対象者で有意に相関していた(r=0.19、p<0.001)。RVとMUNEのCVは有意に相関していた(r=-0.94、p<0.001)。考察:MUNE算出において、位置の近い電極選択がRVを小さくする理由として、電極と記録されたsMUAPとの距離が小さく、sMUAPとCMAPの時空間的情報の差異が小さくなった可能性がある。結論:MUNE算出における電極の選択はRVだけでなく、電極数や位置の差異によるMUNEのばらつきを考慮することが精度向上に重要であることが示唆された。
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