講演情報

[02社-口-01]日本語版フィジカルリテラシー評価尺度とその関連項目の検討

*乾 順紀1 (1. 奈良県立奈良商工高等学校)
PDFダウンロードPDFダウンロード
近年,青少年に対する将来的な生涯スポーツ参画を睨んだ方策の重要性が高まっている中で注目されるのが「フィジカルリテラシー」である.乾・長ヶ原(2024)は,わが国の高校生対象に2つの日本語版尺度を開発している.ただ,フィジカルリテラシーは尺度開発が盛んに行なわれてきた一方で,対象や尺度によって測定内容や範囲が変わるため,それぞれの尺度に関連する項目との検証が進んでいない(乾ら,2023).本研究の目的は,日本語版フィジカルリテラシー評価尺度と運動・スポーツ参画に関する項目の関連を検討することである.高等学校3校の生徒計107名に対して質問紙調査を実施した.主な調査項目は,個人的属性,運動・スポーツ参画状況・希望,フィジカルリテラシー尺度(PPLI,APLQ),調査期間は2024年5月21日・30日,12月9日であった.分析については,評価尺度と運動・スポーツ参画関連項目との相関(Kruskal-Wallis検定/Spearmanの相関係数)を用い,尺度と有意な関連がみられた項目については階層的重回帰分析を実施した.評価尺度と多くの運動・スポーツ参画関連項目との関連は有意であり,特に運動・スポーツ実施に関する項目は,両尺度で広く関連がみられた.また,押しなべてAPLQがより強い関連をみせた.重回帰分析の結果からは,両尺度ともに「体育授業好意度」「体力自己評価」が有意な項目として回帰式に含まれ,尺度が体育科教育に関連するものとして機能し得ることが示唆された.さらに,APLQではフィジカルリテラシーの向上によって育まれるべき資質・能力にかかる項目も有意であった.ただし,観戦やボランティアに関する項目は回帰式に残らず,実施との関連の強さには差があると考えられた.特にAPLQで高い説明率が示され,尺度が運動・スポーツ参画に関する項目で構成されていることが示された.

コメント

コメントの閲覧・投稿にはログインが必要です。ログイン