講演情報
[03心-口-03]縦断データを用いた心理的安全性とバーンアウトの相互関係の検討
*甲谷 勇平1、佐藤 優介1、白坂 成功1 (1. 慶應義塾大学大学院システムデザイン・マネジメント研究科)
バーンアウトは、様々な障害の結果として生じる、スポーツ領域における深刻な弊害である(田中, 2016)。そんなバーンアウトの予防・低減に向けて、心理的安全性に注目が集まっている。先行研究では、心理的安全性がアスリートのバーンアウトの低下に影響することが一貫して報告されているが、1時点もしくは2時点での心理的安全性とバーンアウトの関連しか明らかにされておらず、心理的安全性とバーンアウトの縦断調査の必要性が指摘されている(Kinoshita & Sato, 2023)。そこで本研究では、心理的安全性とバーンアウトについて、3時点でデータを取得し、縦断的に関連を明らかにする。調査対象者は、日本の高校・大学生運動部活動部員である。2月、3月、4月の3時点でオンラインアンケートを実施し、全ての時点で回答した138名のデータを分析した。アンケート項目は、デモグラフィック変数として性別、学年、競技レベル、役割(選手/スタッフ)、立場(リーダー/非リーダー)を取得し、チーム心理的安全性尺度(Edmondson, 1999)、バーンアウト尺度(雨宮ら, 2013)を用いてデータを取得した。そして、得られたデータに対して交差遅延パネル分析を実施した。分析の結果、Time 1のバーンアウトがTime 2のチーム心理的安全性に影響を与え、Time 2のチーム心理的安全性がTime 3のバーンアウトに影響を与える可能性が明らかになった。これまでの先行研究では、心理的安全性がバーンアウトに影響を与えるという一方向の関連のみしか明らかにされていなかったが、本研究では、心理的安全性とバーンアウトは相互に作用し合う関係性が示唆された。今後は、調査対象者を増やし、より中長期的にデータを取得し、詳細について明らかにする必要がある。
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