講演情報

[01史-口-07]ライプチヒ学派 「トレーニング論」の変遷 その5「競技スポーツの理論と実践」 誌 の分析

*綿引 勝美
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本発表の⽬的は、1963年に発刊された「競技スポーツの理論と実践」(TPL)誌の⽤語分析である。 既報でも指摘したように、1960年代から1970年代に、 トレーニング理論の根幹をなす諸概念が整理され、トレーニング学研究の対象や⽅法が形作られた。TPLはこの過程を詳細に検討するための基礎資料と評価できる。応⽤トレーニング 研究所のアーカイブで公開されており、さまざまな観点からの検討や検証が可能になっている。 本研究の作業⼿順は既報とおなじく、原典資料を電子化し、テキストマイニングアプリKhcoderで分析できるテキストファイルを作成し、第三報で示した「トレーニング学基幹⽤語リスト」を加筆修正しつつ、トレーニング関連語、パフォーマンス関連語、試合などにタグ付けを⾏い、対応分析、共起分析などを⾏った。 本報では前報につづき、1963年第二号と第三号の合併号を中心に、UWV(直前試合準備)に関する論文、競泳のヨーロッパ選手権での観察報告論文などを対象に、トレーニング学を構築するにあたっての、三つの対象(パフォーマンス、トレーニング、試合)の分析を進めていくための「基幹概念」の構築・生成過程を明示する。また合併号では、1964年の東京での夏季オリンピックにむけた「直前の試合準備研究プロジェクト」の報告がまとめられている。直前試合準備はトレーニングの成果を試合のなかで最高のレベルで発揮できるようにするためのさまざまな準備的トレーニングの内容を含んでいる。直前試合準備研究プロジェクトは、それまでの取組を総括しつつあらたな視点をもとに準備トレーニングが計画された。その経緯が論文としてまとめられており、トレーニング計画を構成する項目や領域の検討、実施後の省察の方法、それにもとづいた新たな仮説的計画の作成の過程を詳細に見ることができる。

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